ティール組織を実践「つぎのアタリマエをつくる」ネットプロテクションズの組織術 柴田紳社長(第2話)

日本における後払い決済(Buy Now Pay Later,以下BNPL)のリーディングカンパニーとして、NP後払い、NP掛け払い、atone(アトネ)などのサービスを展開する株式会社ネットプロテクションズ。2021年12月には東証一部市場への上場も果たした。代表取締役社長の柴田紳(しばたしん)氏に、経営者にとって重要な素養、組織づくりなどについて聞いた。(全4話)

15年変わらない“普通の”採用基準

ーー人材採用において大切にされているポイントがあればお聞かせください。

採用基準は2005年に作って以来、15年間全く変わっていません。ごく普通ですが、「成長意欲」があり、「協働」できて、「誠実」で、「本質的に物事を考えられる」人。そしてお金をもらっている以上は「プロとして結果を出せる」人。

要は「自分の頭で考えて自分で走れる人」ということです。

私たちはミッションとして掲げる「つぎのアタリマエをつくる」を組織でも実践していtます。世の中にないものを一生懸命考えて作っているので、過去の経験に頼って、考えない人が入ってきてしまうと全く合わないんです。

例えばマネジメント手法でも、肩書きによるトップダウンでマネジメントしたい人が入って来ても絶対に合いません。

 

ーー「自分の頭で考えて自分で走れる人」をどのようにして見極めていらっしゃいますか?

例えば大学時代の過ごし方には、その人の特徴がでます。

大学のような自由な時間に「何でわざわざそんな苦労することやったの?」と思わせる、エネルギーが溢れてつい何かを始めちゃったような人。そういう人は仕事でもつい自分で考え、勝手に走ることができるタイプです。

 

ーー大学時代の過ごし方とおっしゃいましたが、御社は新卒出身者の割合が75%ともお伺いしました。

元々「決済なんて地味」と言われ、資金力も知名度も無いため採用力が弱かったのです。ゆえに中途でいい人なんて入ってくれる状態ではありませんでした。なので2007年頃から新卒採用を全力でやっていて、以降、脈々とずっと頑張ってやってきています。

実は今私が一番時間を割いているのが「社員との座談会」です。年間30人ほどの新卒メンバーが入社してきている中で、5~6人ずつのチームに分けて一年半の間、毎週1時間実施しています。年間8回くらいは全新入社員と面談をやっている計算になります。

組織が230人になった今でも全新卒メンバーが分かりますし、私の考え方を知ってもらうだけでなく彼らが今どう感じているのかを知る意味でも非常に有効な時間になっています。

 

「ティール組織」運営のポイント

ーー自律・分散・協調を実現する「ティール組織」を標榜されていますが、なぜそのような組織形態になったのでしょうか?

私もそうですが、うちのメンバーは既存の会社組織に対して疑問を持つ人が多いんです。「なんで年齢が上というだけで上の人の言うことを聞かなきゃいけないの?」みたいな。

年々そういった疑問が強まり、かつメンバーからも突き上げを受けてどんどん組織が変わっていった結果、気づいたら組織本で「ティール組織」と書かれている状態になっていた。ですからティール組織を目指していたわけではありません。

これは“クソ生意気”な若者を集めたらどうなるか、というある種の社会実験です。うちのメンバーは納得することを重視するため、命令のようなものでは全然言うこと聞きませんので(笑)

 

ーー「ティール組織」を運営する上でのポイントをお聞かせください。

セルフマネジメントできるようにする仕組み作り。そして権限の分散を許容しながらも、統合する努力をし続けることです。

セルフマネジメントする上で必要なのは「情報・ナレッジ」の透明化です。情報を提供しないとどんなに優秀な人でも絶対に無能化します。無能化すると意欲が無くなり、その組織が嫌いになるのです。

例えば中途の人が入社して一番驚くのは当社の情報・ナレッジ共有システム。社内の全情報が見える化されていて、過去の全知識が参照できます。

一定の知性がある人が入社してきて、過去のナレッジ、今の情報を参照できればそう間違えることはありません。また、一人でやるのではなくチームで動きますし、よほどズレがあった場合には「こういう観点もあるよ」とシニアメンバーが助け舟を出します。

この状況が作れれば、たとえセルフマネジメントに委ねていても方向性がズレることなく物事が進んでいきます。

 

ーー創業当初にセルフマネジメントに委ねるのは相当大変だったのではないでしょうか?

創業当初は真逆です。全部私のトップダウンで、マイクロマネジメントしていました。

社員との関係性も最悪でしたし、私も社員を信用できていなかった。生きるか死ぬかの状態だと組織風土なんて言ってられませんでした。事業成長に合わせて、組織も変わってきたということです。

とはいえ、今もトップダウンを全て廃止している訳ではありません。

本当に危機が起きたら、たとえ社員からどれだけ反発が起きてもトップダウンで対策するつもりです。

最後は全責任が経営者である私のところにあるわけですから伝家の宝刀は持ち続けつつも、みんなを信頼できるように色んな仕組みを整えてきた、というのが私たちの組織がいまに至った経緯です。

 

 

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DIMENSION 編集長

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「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。

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