#海外展開
「DX・AIを駆使したテクノロジーによりM&A業界を変革する」をビジョンに掲げ、急成長を遂げるM&A総合研究所。創業3年9ヶ月で東証グロース市場への上場も果たし注目を集めている。同社代表取締役CEO佐上峻作氏が語る起業家の素養、事業成長のポイントとは?(全4話)
「戦う前に勝負は決まっている」
ーー前話で「逆算思考」についてお聞きしました。M&A総合研究所の事業も逆算から生まれたのでしょうか?
そうです。全てゴールから逆算しています。
私はM&A総合研究所を起業した際、上場のタイミング含めゴールを設定し、そこから逆算して行動をしました。
ネットバブルの時代ならインターネット完結のサービスでもスケールする余白があったと思いますが、今の日本ではスケールできる事業ドメインがどんどん減ってきています。さらにITサービスはすぐに模倣されるリスクがあるので、なかなか難しい。
M&Aという着眼点自体は自分が何度もM&Aを経験して課題を発見したことによるボトムアップ型ですが、やると決めたのはマクロから市場を捉えた時の参入障壁、市場規模や期待獲得シェアを試算し、目標を確実に達成できると確信したからです。
市場規模の大きさが会社の規模を決める。この資本主義の原理原則を理解した上で起業することが、特に若い方は意識すべきポイントだと思います。
ーー他にマーケット選定する際に意識すべきことがあればお教えください。
徹底した業界調査です。競合企業にどういう人間がいて、何を考えていて、どうやったら勝てるか、という勝ち筋を見出してから始めることです。
投資家から見たら「数社に1社大きく成功」するのがベンチャーかもしれませんが、起業家にとっては一度きりの人生で失敗するわけにはいきません。何かしら勝つための戦略を立てないと勝てません。
私の場合、有望な市場を選定したら、あとは知人、時にはビジネスマッチングサービスなども利用しながら徹底的にヒアリングを繰り返します。この徹底度が他の起業家とは違うように思います。本気で徹底的に調査を繰り返していけば、市場の概要は理解できますし、勝ち筋も見えてきます。
戦う前にほとんど勝負は決まっている。勝ち筋が見出せないならやらない方がいい。そのくらい、事前準備が大切だと思います。
「本気のDX」は確実に利益を生む
ーーM&AにおいてDX・AI技術を競争優位性にされております。この点、どのようにして競争優位性を構築したかお聞かせください。
AIの本質的な意味は「人が苦手とする部分の補填」だと思っています。
例えばアポイントリスト。これは人力でも出せますが、この時のデメリットは2つほどあります。それは「速度」と「抜け漏れ」です。こういった弱みをAIで補填していく。これが大前提にある考え方です。
これと同様に、提案営業した際に「相手の反応」を見て自分なりのロジックで、実際にM&A成約に至る可能性を予測すると思いますが、これは営業マンによって力量に差があります。私たちはこれをAIでやっていて、相手の反応をリスト化してAIで分析することで顧客有望度を自動で判断しています。
ーーそれとともに、提案内容も精度が上がっていくということですね。
おっしゃる通りです。
例えばAという会社が売却を検討する際に、複数の譲受候補企業に提案をしますが、その結果をAIが学習し、精度を上げていきます。過去の提案実績などを人力でいちいち検索していては効率が悪い。我々の場合はAIがそこを補填するので、素早く良い提案をすることができます。
私たちの強みは大きく3つあります。1つ目は透明性の高い完全成功報酬制の料金体系を採用していること。上場企業では私たちだけです。2つ目は成約期間が平均6.6ヶ月と短いこと(他社は9~12ヶ月かかることも多い)(2022年9月期実績)。3つ目はマッチング力が非常に高いことです。
これが3つ揃っていると選ばれない理由が無く、結果的に急成長を実現しています。
また、同業他社からの転職者にアンケートを取ったところ、労働時間が27%減っているとの結果も出ました。優秀な人材の採用力においても優位性がありますし、入社2年目以降のアドバイザーの平均年収2,800万円超えという高水準を維持しても、業界最高水準の営業利益率を確保しています。
私たちは創業1日目から本気でDX化を推進した結果、実際に利益を生み出すことができています。DXを「やり切る」ことができれば事業が成長することを私たちがこれからも証明し続けます。
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DIMENSION 編集長
「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。
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