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先達に学ぶ ー第7回 日立・元社長 川村さんからの学びー

皆様、こんにちは。

国内ベンチャー投資ファンド・DIMENSION(ディメンション)の代表取締役社長の宮宗(みやそう)と申します。私共の起業家向けメディアDIMENSION NOTE(ディメンション ノート)に目を通して頂き、ありがとうございます。

私自身2002年からスタートアップへの出資・支援を行うようになり、累計11社の上場/MBOに携わってきました。またこれまで様々な起業家や経営者と仕事をしてきましたが、経営はある事を行えば必ず成果が出るという単純なものではありません。一方、自分よりステージが上で上手く経営推進・事業拡大されている企業や起業家・経営者の方からの「学び」、そしてその「具現化」を継続していれば、成果出しの確度は高められると、数多くの起業家を見てきた専門家として確信しています。

2021年4月から、私共DIMENSIONメンバーが定期配信を始めた「起業ノウハウ」では

  • 起業
  •  増資・融資
  •  組織作り
  • 経営推進・事業拡大
  • 上場

を中心に、取り上げていきます。

 

前職では20年間、スタートアップへの出資・支援以外に、戦略コンサルティングの仕事もしていたこともあり、30歳の頃には大企業の社長や経営陣とやり取りさせて頂いていました。

印象的な方が数多くいらっしゃったのですが、これまでお会いした中でダントツに「凄い!」と思った経営者は、日立製作所(以降、日立)の川村 隆・元社長です。2015年10月、日立での経営改革を終えられ1年半経った後に初めてお会いして、川村さんのお話を伺いながら経営質疑できる機会に恵まれました。

今回は、その際にご教授いただいた「経営改革の方法論」「リーダーとして大切な事」のエッセンスの一部をご紹介します。

 

赤字7,800億円からの経営改革

2009年3月、日立は過去最高赤字7,873億円を計上し、当時69歳の川村さんが子会社会長から日立の社長に就任します。

売上10兆円以上、連結従業員数30万人強。国内製造業では過去最悪の赤字額。

もし皆様がTopなら、何から取り組むでしょうか。

巨大企業の改革は、どう進めたらよいか想像もできず実現は非常に難しいものですが、下の業績推移のように、川村さんは5年で黒字体質にもっていくことに成功し、経営の一線から退きます。

 

 

最初、何から着手され、どう改革をされたのか川村さんに質問した際、ゆっくりと普通の声のトーンで答えられた内容にまず驚かされました。

  • “改革は、スピードさえあれば何とかなるものです。社長に就任することを決めた後、100日で対応策が出そろうスピードでやろうと決め、5人の副社長と進めていった。”
  •  “どんな改革も、必ず反対・抵抗勢力は出てくる。日立の場合、私が社長になる前は経営会議にも13名が集まり意思決定をしていた。それを私含め6名に絞りトップダウンで行く方針を決めた。”
  •  “私が社長になる条件として、会長も兼務させてほしいとお願いした。これも意思決定する人数を絞りたかったことが理由の1つです。”

 

売上10兆円、連結従業員数30万人以上の会社の方針を100日で定めると決めたスピードへこだわりと、スピーディに意思決定ができる環境づくり。この2つが、改革の土台となることを学ばせてもらいました。

 

経営改革は、1年目で勝負が決まる

環境づくりを終えた後の具体的な改革プランをスライドで説明頂いたのですが、「えっ!」と声が出るほど大胆で、本質的なモノでした。

  •  “1年目で結果が出ないと、社内外からもやっぱり変わらない、、、となり、何事も難しくなる。1年目から結果を出すことが非常に大切。”
  •  “業績が悪化すると、経営者はどうしてもリストラやコストカットに追われがちになる。だが削ってばかりいると現場の士気は落ちてしまう。”
  •  “やはり「今後、我々はこの事業に重点をおいていく」といった前向きな改革も同時に行わなければならない。”
  •  “社長就任1ヵ月目には、上流から下流をあわせた電力・交通のインフラをシステムごと請け負う「社会イノベーション事業」に集中する方針を公表した。”

 

多くの企業が、リストラはできても大型の成長事業を見出すことができず利益創出に苦労しますが、川村さんの凄さは筋の良い成長事業を短期に定められたことにもあると思っています。

方針を公表したのち、英国の交通システムを受託するなど「社会イノベーション事業」は日立の中核事業に成長。直近2021年4月の中期経営計画の進捗発表でも「社会イノベーション事業をグローバルに拡大」することが中心に据えられています。

他にも川村さんは以下のような日立初の施策を次々打ち出し、「やりきる」ことで就任2年目には黒字化を達成。大企業・日立を利益創出体質に変革していきました。

 

 

川村さんは、いわゆるカリスマとは真逆のタイプ・雰囲気の方なのですが、打ち手を策定する力、優先順位のつけ方、やりきる力や意志が圧倒的で、お話を伺って感銘を受けたのを今でも覚えています。私も自己研鑽を積みながら、川村さんのように関係者や後輩達に貢献していきたいと考えています。

 

DIMENSIONは、これからも「真摯に経営に向き合う起業家」への出資・支援に取り組むことで、より良いスタートアップが生まれる環境づくりに注力していきます。

起業ノウハウ「先達に学ぶ」第1回第2回第3回第4回第5回第6回もご参考にしてみてください。

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