鈴木修の『スタートアップ組織人事塾』〜メンタリング編〜 “チームビルディングの再構築”、急成長するガラパゴス社をメンタリング 第4話

「真摯に経営に向き合う起業家」に向き合い、資金面以外にも多面的な経営支援を提供することを特徴とするDIMENSION。その支援の一つが、DIMENSIONのパートナーによる「組織構築メンタリング」です。 今回は、DIMENSION出資先である株式会社ガラパゴス中平健太 代表取締役CEOに対して、DIMENSION取締役の鈴木修が実際に行ったメンタリングを、御二方に振り返っていただきながら、ガラパゴスがどのように組織改善に取り組んでいるのか、スタートアップで発生する組織課題とその乗り越え方について語っていただきました。(全4話) 聞き手:ビジネスプロデューサー(ガラパゴス担当)中山航介

出社とリモートは“or? and?”

中平:
鈴木さんがこれまでいらっしゃった会社やご支援されている会社では、出社の考え方はどうですか?インターネット業界の会社はかなりリモート文化なイメージがありますが。

 

鈴木:
出社重視の思想の会社が実は多いです。カタチとしては出社とリモートを組み合わせたハイブリッド経営ではあるのですが、思想としては、出社だからこその効果を重視すると言いますか、出社の機会の設計を最優先に行って、それ以外はリモートでも可にする、そういう考え方で働き方を設計しています。

議論内容やチームビルディングやセキュリティリスク業務を考慮して、出社機会を設計するということは当然のこととして、それだけではなく例えば、若いメンバーを中心に「ワンルームという同じ環境で生活してひたすらリモート業務して、という繰り返しは辛い…」といった声や、「なんだかんだ人の顔が見える環境で仕事をすること自体で気持ちが楽になるから出社したい」、という声があることも現実で、それをふまえて設計もしていますね。

 

中平:
そういった声、とてもわかります。そういった声って、切実ですよね。

そもそものところで一つお伺いしてみたいことがあるのですが、「出社ではコミュニケーション量が増えて円滑になる」というのは私は幻想だと思っているんです。

会社で集まり会議をしたからといってメモはパソコンでとりますし、あくまでも私の感覚値ではエンジニアなどはシャイなタイプも多いので、ZOOMの方がむしろ目が合って表情を見ながら話せたりするなと。

オンラインで唯一情報として足りてないのは「空気」と「匂い」だと思うのです。それを感じられて、ある意味でそれを記憶するような機会が少しあればいいと思っていますので、社員が集まり対面交流できる場を作ることも検討しています。

そういった観点をどう思われますか?

 

鈴木:
世の中のトレンドや注目を集める企業のやり方うんぬんではなく、出社とリモートのメリット・デメリットを見極めて、何より会社ごとの文化に適した働き方を選んでいく。それが答えなのだと思います。

今は、出社が当然の時代を生きてきた「出社ネイティブ」の人たちが大半ですのでこういった論点がありますが、10年後、15年後には「リモートネイティブ」の人たちが大半になるかもしれない。その時には、そもそも出社やリモート議論は必要なくなるかもなと。

結局のところ、社員と組織が活性していて業績が上がる、これが実現できれば出社であろうとリモートであろうとどちらでもよい。目的と手段、ですね。

現時点で出社かリモートかを考慮する際の一番と言っても良いかもしれない大きな論点は、先ほど話にも出たオンボーディングかもしれないですね。オンボーディングをリモートでやり切れるのか?

人材の「最適化」。この点においては、まだ出社は必要不可欠ではある、というのが私の考えですね。

 

“全社イベントで一体感醸成”という幻想

鈴木:
この話の流れで、中平さんが興味を持ちそうなトピックがあります。

コロナ以前に米国の組織人事論でテーマになったこともある「全社イベントの意義」です。

全社イベントはより孤独な社員をつくってしまうのではないか?という話です。

私自身もかつて在籍していたいくつかの会社で経験した全社イベントを客観的に観て考えていたことでもあります。全社イベントの目的は、全社に共通のメッセージを伝えるということもありながら、チームビルディングの一環としてメンバー間のコミュニケーションを取らせて、“一体感の醸成”が大きな目的だと思います。ですが、実は逆効果にもなるのではないか?と。

 

中平:
え、そうなのですか?

 

鈴木:
よく言われることでは、人が求める「会社と個人の関係性」や「人と人との関係性」が様変わりしてきていて「会社は仕事の同僚であり、それ以外の仲間としての関係性は必要がない」「仕事に関係ないイベントや飲みニケーションは必要ない」といった属性も増えてきているということも背景の一つにはありますよね。

ですが、時代を問わずある根本的なこととして、全社イベントってイベント会場のあちらこちらで“社交会に呼ばれた社交会苦手な人」現象”、が発生するんです。

 

中平:
あーー、たしかに。

 

鈴木:
あちらこちらに、ぽつんとしていて“ぼっち”な感覚を抱く人が点在するんですよね。

経営陣やマネジメント層と仲が良かったり、高い評価がされていたり、キャラクターが際立っていて多くの社員から認知されていたり。あとはもちろんシンプルにコミュニケーション力が高かったり、社交会が好きだったり、そういった属性は盛り上がっているけれど、そうじゃない人達は全社イベントで逆に疎外感を感じてしまう。もちろん誰も疎外しているわけではないのですけれども、結果的にそうなってしまう。

そうなった人は、この会社は自分には合わないのではないだろうか…という心理になり、一度そういった心理になるとネガティブスパイラルで、どんどん会社と気持ちが離れていき、そして会社を辞めてしまう。

全社イベントだけでなく、とにかく” 集合させて一体感を醸成する”というこの安直な発想は幻想で、実態は、集合しなくてもすでに一体感を持った人たちだけがイベントでも一体感を持って楽しんでいるだけ、ということが往々にしてあります。

ですので、こういったリスクも苦慮して集合施策をセンシティブに実施しないといけないですよね。

そう考えてみると、かつて私も人事としてイベントに参加するときに人事チームに持たせていたミッションの一つが「ぼっちゼロ」でした。イベントでぼっちになりそうな人を相性が良さそうな人と引き合わせたり、ぼっちになっている人を隅々から見つけて社交上手な社員をそこに連れて行ったり。

 

中平:
今のお話し、すごくわかります。

お聞きしながら思ったのですが、もしかすると、それを解決する一つのヒントが私の好きな「格闘技」にあるかもしれないです。

格闘技が好きで基本的にはテレビで観ているのですが、それを観るのは単純に試合が面白いから。でもたまに会場に行ってまで試合を観るのは、やはり会場の熱気を感じたいからなのです。

あくまでもリングの上の試合を観ることが目的なのであって、会場に来たお客さんとコミュニケーションをとることがしたいわけでもなく、それは必要ないのです。

リングの上の熱い試合を観て会場に来た人たちがそれぞれにそれぞれのトーンで盛り上がり、結果的に全体的な熱気に包まれる。

それを会社の全社イベントに例えると、格闘技の会場に来るお客さんにあたるのが全社イベントに参加する社員であり、その社員はあくまでも全社イベントを観にくるだけでよい。

観に来た社員は、格闘技で言うところのリングである全社イベントのステージに立つ必要もないし、他のお客さん=他の社員と交流するフリータイムみたいなものもない。会社が用意したコンテンツを観に来るだけでよい。会社が熱気のある組織であることが伝わって、自分はここの一員であるということを感じてもらえるだけでいい。それが今の時代の全社イベントなのかなと。

会社が熱い格闘技=全社イベントコンテンツを観せることが前提になりますけれど(笑)

 

鈴木:
最後に中平さん風味たっぷりの表現が聞けて何よりです(笑)

今度、ガラパゴスのイベントにこっそり参加させてくださいね。

あらためてになりますが、社員と組織が活性していて事業計画を達成する、こういった目的に対して手段を適切に選択し続けていくことが大切です。

組織人事のあらゆることに対して、これまで当たり前に正しいと言われていたり、自らもそう思っていた考え方ややり方はもはや現在においては幻想と言っても過言ではないのでは?、そんな疑問を常に抱き自らに問い続け、ゼロベースで解を見出していかなければなりません。

組織人事のカタチに正解は無く、今後も変わり続けていきますね。

 

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