開始2年で国内No.1サービスを作りあげた原動力とは ウェルスナビ 柴山和久CEO(第5話)

国内No.1サービスを生む、競争力の源泉

――御社のロボアドバイザーは国内No.1のサービスへと急成長されました。競争力の源泉はどこにあるのでしょうか?

継続的な優位性は「組織力」だと思っています。なぜならば、プロダクトは常に未完成なので、進化させ続けるスピードが勝負を決めるからです。

自動車業界を例に挙げると、日本の自動車メーカーが80年代に世界を席巻しましたが、作る車の機能だけをみれば真似することは可能でした。しかし、日本メーカーが本当に優れていたのは現場の「すり合わせ力」と「改善力」。これは簡単には真似することが出来ません。同じように、私たちのプロダクトもアルゴリズムは公開されているので、真似しようと思えば表面的にはコピーすることが可能です。

しかし、ユーザーの顧客体験を本当の意味で真似することはできません。なぜならば、表面上はわからない部分で、ウェルスナビのメンバーが日夜データを集め、サービスの質を磨き上げ続けているからです。なので、我々のプロダクトが競争力を持てる源泉は、たどっていくと「組織力」に他ならないと思っています。

 

「トップダウン」と「ボトムアップ」でバリューをつくる

――強い組織をつくる上では「ビジョン」や「バリュー」が揃ったチーム作りが不可欠かと思います。御社ならではの取り組みをお聞かせください。

「これをやったら良い」という正解があるわけではなく、地味な施策の積み重ねが重要です。

弊社も様々な会社がやっているように、「バリュー」を体現している人を表彰したり、週に1度は私が全社員の前で「ビジョン」や「バリュー」について発言するようにしています。しかし、施策は組織に合う合わないがあるので、経営者が自ら意識的にアップデートし続けるしかないと思います。

 

――ウェルスナビ独自の取り組みはございますか?

「バリュー」を決める際、社内で普段使われている言葉から考える「ボトムアップ」発想と、経営陣があるべき姿を提示する「トップダウン」発想の複合で決めました。

ボトムアップについては、「今後も守り続けたい組織の価値はなんですか?」「今後入社してくる人に、自分たちが大切にしているものはこれだよと伝えたいことはなんですか?」といった質問を社員全員に行ない、アンケート形式で回答してもらえました。それだけではベクトルを揃えるのが難しいので、集まった意見をベースに、トップダウンの意思をすり合わせて「バリュー」を決めました。

こうすることで「バリュー」をメンバー全員が自分事として捉えている状態が作れたのではないかと思っています。

 

 

>第6話「日本における新しい「金融インフラ」を目指す」に続く

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DIMENSION 編集長

DIMENSION 編集長

「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。

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