GO代表三浦流「クリエイティブ思考法」の極意とは(第4話)

広告の枠を超え、さまざまなクリエイティブで世間の注目を浴び続けている The Breakthrough Company GO。2020年にはベンチャーキャピタル事業「The Breakthrough Partners GO FUND」(GO FUND)も設立し、その事業領域を急拡大させている。今回はPRのスペシャリストでありクリエイティブディレクターでもある代表取締役 三浦崇宏(みうらたかひろ)氏に、起業家としての素養、事業拡大の秘訣などについて聞いた(全6話)

「クリエイティブディレクター」という仕事の本質

ーー現在は投資業をはじめ、様々な領域に事業展開されています。複数の事業を展開する上で意識しているポイントをお聞かせください。

よくクリエイティブディレクターという仕事をしていると「CMや広告を作る専門家」だと思われるのですが、私の認識は異なります。私は自分のことを「新しい意味を作ることで価値を増やす、思想と技術の専門家」だと思っているんです。

「クリエイティブ」事業の本質は何かというと、事業やサービスの本質を捉えて意味を作り、それを言語化してデザインし、メディアにパブリッシュすることで価値を高めることです。

その前提でお話しすると、たしかに事業領域は広がっていますが、全く畑違いなことをやっているわけではありません。同じ「クリエイティブ」の力を使って、役割を果たす領域を広げているだけなのです。

例えばスタートアップ支援の事業も、「クリエイティブ」を活用してスタートアップが持っている思想を言語化することで、投資家が集まりやすくなったり、ユーザーが興味を持ってくれるようになります。

「クリエイティブ」の力を単なる大企業のマーケティングに使うのではなく、教育やスタートアップ支援、もしくは行政に使う。私にとってはすべてクリエイティブディレクターの仕事の延長です。

 

ーービジネスモデルは異なれど、提供する価値の根源は共通している、と。

実はこれは会社経営も同じで、私は経営をしているよりも「GOという作品のクリエイティブをディレクションしている」という意識の方が強いんです。

「どういう風な仕事をしたら世の中からどう見られるか」、「どういう人を採用したらどういうアウトプットが生まれるか」など、極めてクリエイティブディレクターと同じ思考回路で、GOという組織を運営しています。

なので幅広く色々やっているように見えるかもしれませんが、自分たちが苦手なことや、やる意味がないことは一つもやっていませんね。

 

「意味」を作り、価値を高める

ーー「新しい意味を作ることで価値を増やす思想と技術」について、もう少し具体的にお伺いできませんでしょうか。

ここに「お茶碗」があったとしましょう。このお茶碗の価値を上げることが命題だったとき、どのような手段があるでしょうか。

例えばもっと良い材質で作ることはできますよね。これは「資源」で勝つやり方。100人で一気に100個量産して生産性を高めるというやり方もあります。これは「組織力」で勝つやり方です。保温機能をつけるといった「技術」で勝つ方法もあります。

しかしここで、「このお茶碗は人生を象徴する品である」と言って、数百万円で売った人がいます。それは千利休です。彼はまさに「意味」をつけることで、ものの価値を高めることをしていたわけです。

さらに具体例を挙げると、私が前職の博報堂にいた頃に「土のフルコース」というプロジェクトを手がけました。

これは園芸用土メーカーがクライアントだったのですが、東日本大震災の原発事故による風評被害で「日本の土はもう扱えない」と言われて、困り果てていたような時期でした。

その時にクライアントに「どれくらいこの土は安全なんですか?」と聞いたら「食品と同じくらいの安全基準を満たしています」とおっしゃったんです。「それは食べられるってことですか?」と聞いたら「そういうことです」、と。

そこでフレンチレストランとコラボレーションして「土を使ったフレンチフルコース」を作ってメディアの取材陣に食べてもらいました。そのことで「食べられるくらい安全な土」という報道が広まり、世の論調を変えることができたのです。

これも新しい意味を作ることで価値を高める「クリエイティブ」の使い方です。

「クリエイティブ」という発想法、思考法を使ってものの価値を高めることは、時代を超え、様々な場面で活用することができると思います。

 

 

 

 

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DIMENSION 編集長

DIMENSION 編集長

「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。

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