急成長SaaS「チームスピリット」荻島浩司社長に訊く、サブスクリプションサービスの伸ばし方(第2話)

「すべての人を、創造する人に。」をミッションに掲げ、働き方改革プラットフォーム「TeamSpirit」などのバックオフィス向けクラウドサービスを展開する株式会社チームスピリット。2018年には東証マザーズ上場を果たし、企業DXの推進役として急成長を続けている。そんな同社代表取締役社長の荻島浩司氏に、起業家の素養、成長事業の作り方などについて聞いた。(全4話)

「おもしろい!」と思うことを突き詰める

ーーゼロからSaaSプロダクトを立ち上げる際のポイントがあればお聞かせください。

1つ目のポイントは興味のあること、好きなことをやることです。

私が2009年に「これからはSaaSの時代だ」と思って最初の自社プロダクトとして作ったのは入札管理サービスでした。それまでの金融向けサービス開発で培った統計ノウハウを、入札管理に応用できたらおもしろいと思ったのです。

そのプロダクトは残念ながら事業としては軌道に乗らなかったのですが、その時に開発したモジュールを使えば人事評価に使えるということがわかり、次に特許をとって人事評価システムを企画しました。

ただ人事評価だけだと一部の人にしか使われませんので、そこに入るデータを活用しながらよりニーズの広いサービスを作ろうと考えて作ったのが、現在でも弊社TeamSpiritの主力機能である「勤怠管理」です。

それまで「勤怠管理」についてはほとんど知らなかったのですが、調べれば調べるほど興味が湧いてきました。明確な法律はなく、企業ごとに独自のルールがバラバラに存在。それらを都度労基署が良い悪いと判断を行っている。これをシステムで標準化できれば「おもしろい!」と思ったのです。

勤怠管理を「おもしろい!」と思う人なんて、なかなか少ないと思いますが(笑)、私としては非常におもしろかった。そうやって興味があること、「おもしろい!」と思えることをやることが大切だと思います。

2つめのポイントは、サービスを作ったら早い段階で市場に出して市場のフィードバックを受けること。

例えば「勤怠管理」の世界には定まった仕様というものがありません。お客様ごとに要件を引き出していくしかない。なので、一旦原型を作ったらすぐに市場に出し、1社顧客が増えるごとに要件を増やしていく。そして標準化する、ということを繰り返し続けました。

この2つのポイントが、ゼロからスピーディにSaaS事業を立ち上げる上で重要になるかと思います。

 

ーー営業や集客面で意識されていることはありますか?

創業当初から力をいれているのはWebページ、コンテンツの充実です。今ほどデジタルマーケティングが流行っていなかった2011年当時から、インバウンドで案件がくる形を作っていました。

当時は社員7人で、しかも私以外全員エンジニア。少人数でレバレッジを効かせてグロースさせる必要があったので、興味のない人にアプローチしている暇はありませんでした。プロダクトの仕様を徹底的にオープンにし、勤怠管理にまつわる事例解説コンテンツを充実させ、トライアル1ヶ月で満足した人だけに申し込んでいただくとい形をとりました。

結果的にお客様が信頼感を持った状態で契約していただけ、創業当初から非常に低い解約率を維持できています。

あと集客の転換点でいうと、プロダクトをローンチした翌年の2012年にセールスフォース主催の大型イベントにスポンサードしました。売上が2,000万円程度しかないときに1,000万円以上出費した大勝負でしたね(笑)。

結果的にこれがすごい反響で、2011年は東日本大震災があって各社広告投資を控えていたこともあり、「デロイト・日立・チームスピリット」みたいな見え方で出展することができました。クラウド、SaaSという言葉が注目され始めた時期でしたので、そこで一気に認知を獲得することができました。

見込み客をインバウンドで集客する仕組みを作りつつも、時には大胆に攻める。これが集客において意識してきたポイントです。

 

「ポジショニング」と「CS」で解約率を下げる

ーー御社のサービスは非常に低い解約率を維持されているのが印象的です。これを実現するうえで意識されているポイントがあればお聞かせください。

2つあって、1つは「ERPのフロントウェア」という特殊なポジショニングです。

ERPのフロントウェアとは、その名の通りERPシステムのフロントに位置するシステムを意味します。TeamSpiritを既存の基幹システムの上にアドオンすれば、それだけでバラバラだった業務アプリケーションをクラウドで統合することができるのです。

従来サービスは勤怠管理や経費精算などが単品でしたが、弊社サービスは既存の基幹システムとデータ連携してすべてを1つのパッケージにしていますので、圧倒的な利便性を提供するとともに、簡単には解約できないシステムとなります。

また例え企業規模が成長するにつれてERPが変わっていったとしても、ERPからは独立したシステム構造ですので問題なく使い続けていただけます。この特殊なポジショニングによって、高い契約維持率を実現させているのです。

もう1つのポイントは「カスタマーサクセス(CS)」に古くから地道に取り組んできたこと。

新規客営業、既存客への活用支援、問い合わせに対する回答の満足度調査、定期的にお客様を訪問しての改善活動。当たり前のことかもしれませんが、これらの取り組みを階層的に組み立て、徹底的に追求しています。

我々はチームとしてこのCSを追求するために、最重要KPIとして「LTV(顧客生涯価値)極大化」を掲げています。短期的な売上・利益は追い求めていません。

「LTV極大化」を実現するために、それぞれの階層的CS活動がどういう意味を持つのか。組織全体で常に共有し改善することが、結果的に解約率の低いサービスを作り上げるのだと思っています。

※インタビュー記事は2021年10月26日現在の内容です

 

 

 

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DIMENSION 編集長

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「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。

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