#ビジョン
『「つくれる」のその先へ』というビジョンのもと、「誰でも・カンタンに・素早く」ホームページを作成できるサービス『ペライチ』を開発・運営する株式会社ペライチ。2015年のリリース以降、わずか4年で会員登録ユーザー数は17万人を突破している。同社代表取締役 橋田一秀氏に、起業家の素養や、急成長サービスの作り方などについて聞いた。(全5話)
起業は「総合格闘技」
ーー橋田さんが考える「起業家にとって重要な素養」を3つ挙げるとするとなんでしょうか?
私は起業とは「総合格闘技」のようなもので、ほぼなんでもあり世界だと思っています。ゆえに様々な能力をバランスよく持つことが求められます。
私たちの場合は三人の創業メンバーで起業したので、お互い足りない能力を補完しあいながらここまで来ることができました。
その前提のもとでお話をすると、特に「突破力」「ポジティブ思考」「巻き込み力」の3つが起業家にとって重要な素養だと思います。
橋田一秀/1983年生まれ。 東京理科大学工学部電気工学科修了後、株式会社NTTデータに就職しSEとして勤務。その後、株式会社うるるにほぼ未経験ながらエンジニアとして就職し、サービス開発に携わる。2014年4月に株式会社ペライチを創業し代表取締役に就任。サービス「ペライチ」を2015年4月にリリース。
ーーまず「突破力」が重要と思われた理由についてお聞かせください。
起業家は、ほとんどの人の場合は何もないところからのスタートです。ですので、やったことがないこと、初めて対峙することに立ち向かうケースが頻繁に発生します。
私はエンジニアだったので起業時にビジネスサイドの経験がありませんでした。当然ながらビジネスモデル立案や資金調達の経験は皆無です。そのため、手探り状態で色々な情報や意見を聞きながら答えを探していきました。
この、初めて対峙する課題に向き合い、乗り越えていくプロセスを総合して「突破力」と呼んでいます。これは起業家には必ず求められる素養だと思います。
ーーその「突破力」はどのようにして身につけられたのでしょうか?
私はもともと性格的に、新しいものや企画をつくるのが好きです。ですので、普段から自然と「ゼロイチ」体験を多く積み重ねてきたのだと思います。
特に記憶に残っているのが、高校生時代に文化祭のミニステージを企画した時のこと。周囲に経験がある人はいないし、以前の記録も残っていない。そんな中で何をやるか、どうやって実現するかを企画し、実行していく。
起業に比べるとささやかかもしれませんが、私にとっては先生の許可をとったり、学級委員に根回ししたりと、初めてやる企画を実現するために「突破力」を働かせた原体験になっています。
社会人になった後も、NTTデータを退職後うるるに就職するまでの約1年間、友人と起業してみたり、知り合いが経営している企業を手伝ったりと、様々な新しいことをしていた時期がありました。
このように私はとにかく新しいことをやるのが好きなので、そうやって様々な経験を積み重ねるうちに、結果的に「突破力」が磨かれたのかなと思います。
ポジティブであり続けるための技術
ーー「ポジティブ思考」が重要と思われる理由についてもお聞かせください。
起業は楽しいことも多いですが同時に、大変なこともたくさん起こります。どんな大変な状況も「ポジティブ」に捉えて乗り越えていかなくてはいけません。
加えて、これは「巻き込み力」の話にもつながってきますが、「ポジティブ思考」の人の周りにしか人は集まってきません。なので、起業家が「ポジティブ」であり続けることが、仲間を集めていく上でも重要となります。
ーーこの「ポジティブ思考」はどのように培われたのでしょうか?
先天的に持っているタイプとそうでないタイプがいると思うのですが、わたしは先天的に「ポジティブ」なタイプです。しかし、そんな私でも精神的にへこむ時はたくさんあります。
重要なのは、精神的にへこんだ時にポジティブになれる方法をしっかりと持っておくことです。私の場合、方法は大きく2つあって、まずは「人に話す」こと、そして「ストレス解消法を持つ」ことです。
「人に話す」ことに関しては、私の場合は共同創業者やマネージャーなどに対して「しんどい」といったことを素直に言うようにしています。以前は無意識に抱え込みがちだったのですが、そうやって素直に人に話すことで、「実はたいした問題じゃなかった」とポジティブになれることも多いです。
また、「ストレス解消法」は毎週朝7時半から皇居ランする部活をやっていたり、時間の合間をぬってスーパー銭湯に行ったりしています。これは人それぞれで方法は異なるでしょう。
まとめると、まずは「ポジティブ思考」であることを心がけること。そして、精神的にへこんだ時に回復するために「人に話す」ことと「ストレス解消法を持つ」こと。
これは困難を乗り越え、仲間を巻き込んでいく起業家にとって重要な技術だと思っています。
>第2話「偶然の出会いを紡ぎ、運命を切り開け」に続く
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DIMENSION 編集長
「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。
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