#インタビュー
『「つくれる」のその先へ』というビジョンのもと、「誰でも・カンタンに・素早く」ホームページを作成できるサービス『ペライチ』を開発・運営する株式会社ペライチ。2015年のリリース以降、わずか4年で会員登録ユーザー数は17万人を突破している。同社代表取締役 橋田一秀氏に、起業家の素養や、急成長サービスの作り方などについて聞いた。(全5話)
起業家としての「巻き込み力」
ーー起業家の3つめの素養として挙げられた(第1話リンク)「巻き込み力」が大切な理由についてお聞かせください。
起業はほぼなんでもありの「総合格闘技」と言ったように、事業を成長させるためには様々な力が求められます。当然ながら、様々な力を持ったメンバーが集まってチームとしてやっていかなければなりません。
ここで必要となるのが「巻き込み力」です。特に創業初期のメンバー集めは、創業者自身が「巻き込んで」いくしかありません。
ーー何もない創業初期に周囲を巻き込むために重要となるポイントをお聞かせください。
「今あるものを提供する」ことがポイントです。
創業期スタートアップの場合、お金もなければプロダクトもありません。そういった「ないもの」を見栄を張ってアピールするのではなく、「ビジョン」や「成長機会」といった「あるもの」をプレゼンしていくのです。
たとえば私の場合、創業初期はたくさんミートアップなどに参加し、いろんな人に声をかけ続けていました。そこで話していたのは、やろうとしているビジョン、そしてゼロイチのフェーズだからこそ提供できるサービス開発環境などです。
結果的に、創業1年半でのべ50名を超える方に、週末も含めてプロジェクト参画していただきました。創業から5年が経っていますが、その時期に参画してくれたメンバーのうち2~3名が今も社員として活躍してくれています。
ーーWin-Winの関係を作ることが重要なのですね。
おっしゃる通り、相手のニーズが何かを理解し、自分たちの持ち札で解決できるならそれを提案する。これが「巻き込み」の基本です。
例えば、現在デザイナーとして活躍してくれているとある社員は、もともとはSNSでゆるくつながっていただけの関係でした。そこから私が声をかけて情報交換していくうちに、お互いのニーズが合致していることがわかり、手弁当でペライチを手伝ってくれたのです。
このようにWin-Winの関係性を提示することが基本ですが、加えて起業家自身が気をつけるべきことがもう一つあります。それは「起業家自身の姿勢」で周りの人間を直感的にワクワクさせられるかどうか。
「熱い」とか「楽しそう」とか、そういったエモーショナルな部分で人は最終的に決断するものです。
ロジカルに「今あるものを提供する」ことを意識しつつ、最終的にはエモーショナルに「手伝いたい!」と直感的に思ってもらえる雰囲気を作ること。
これが起業家の「巻き込み力」を構成する要素だと思っています。
運命を変えた偶然の出会い
ーー御社は橋田さんに加えて、山下さん、香月さんの3名で共同創業されています。3人の出会いのきっかけをお聞かせください。
山下と出会ったきっかけは知り合いのバーベキューです(笑)。その後、転職相談にのってもらったり、普通に遊び仲間として色々なところに遊びに行ったりしました。一緒にフジロックでTシャツを配る、というプロジェクトをやったこともありましたね。
私はエンジニアですが、山下は広告代理店で様々なビジネスに携わるビジネスサイドの人間です。そして、いつも深夜3時くらいまで仕事をし、次の朝にはケロリとした顔でデスクで仕事しているようなハードワーカーです。
彼を創業メンバーとして誘ったら5秒で「いいよ」と即答してくれたのですが、「5秒は悩みすぎた、いつも2秒で決めるのに。」と言うような、まさにスタートアップ向きの人間なのです。
香月との出会いは、双方が関わっていた学生団体の合宿で偶然バスの隣席になったのがきっかけです。当時、私は1社目を退職して「フェスをやりたい」と言ったりしていた時期だったので、年齢が4つ下でまだ学生だった彼には相当怪しい大人に見えていたようです(笑)。
その数年後、お互いにエンジニアとして起業を志すようになり、最初は別々のプロダクトを立ち上げようとしていたのですが、結果的に一緒にやることになりました。
今振り返ると、私はいつも新しいことをやろうとしているので「面白いことをやりそう」と思ってもらえていたのかもしれません。そういった偶然の出会いが、いまのペライチにつながっています。
>第3話「カルチャーを浸透させる組織マネジメント術」に続く
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DIMENSION 編集長
「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。
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