#インタビュー
「世界をKAIZENする」をミッションに掲げ、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を支援するプラットフォームとサービスを展開する株式会社Kaizen Platform。急拡大するDX市場を捉え2020年12月には東証マザーズへのIPOも果たした。そんな同社を牽引する代表取締役CEOの須藤憲司(すどう けんじ)氏に、起業家の素養や事業成長のポイントなどについて聞いた。(全4話)
好きこそ物の上手なれ
ーー組織づくりについて、意識しているポイントをお聞かせください
一緒に働く仲間に求める大前提は「仕事が好き」であること。当たり前ですが、嫌々仕事をしている人は新しいことをやるのに向いていません。
じゃあ仕事がなぜ好きになるかというと、そこには自分の人生テーマなどが関係してきます。なので「仕事を好き」になる理由がある人を採用することは、現在の能力以上に重要なことだと思っています。
組織が強くなる瞬間というのは、ものすごく成長する人がいろんなポジションで同時多発的に出てくる時です。
外部からスキルを買ってくるのではなく、「仕事が好き」な人を集め、成長できる環境を提供できるかどうかが組織の本当の強さを決めるのだと思っています。
ーー人を成長させる上で、何か意識していることはありますか?
「言わないこと」「見守ること」を意識しています。
私が言い過ぎるとその人の成長の伸びしろを奪ってしまう可能性が大きいので、ちょっと困っていそうでも、直接言いすぎず裏からサポートしたり、他の人に代弁してもらうようにしています。
社長がずっと現場に口出ししている組織はヘルシーではありませんから、その見守る距離感というのは大切です。
応援される会社を目指せ
ーー2020年12月にIPOを果たされています。何か組織に変化はありましたか?
IPOすると経営判断のスピードが落ちるとネガティブにいう人も多いのですが、私自身は事業を強くする上で会社のガバナンス、開示スピードの強化は、会社を大きくスケールさせていくうえでは必須だと考えています。
ゆえに、IPOをするまでのプロセスは、組織を強くするプロセスです。
弊社の場合、IPOを経て執行役員以上の役割が非常にクリアになってきましたし、ミドルマネジメント層が育ってくれたことによって私が短期の業績数字をあまり気にしなくても、ミドルマネジメントが短期と中期を考え、役員が中長期を考えていくという役割分担がしやすくなりました。その分、私はIRやエクイティストーリーなど、会社全体の方向性に集中することができています。
ーーIPOされてみてのメリット・デメリットは何か感じられていますか?
まだあまり時間が経っていないのでそこまで大きな自覚はありませんが、一番よかったと感じるのは従業員やその家族、昔から応援してくれてるお客様、投資家などのステークホルダーのみなさんが喜んでくれたこと。
2つ目に、上場したことでお問い合わせが増えたり、知っていただけたりするケースが増えたこと。特に我々はエンタープライズ向けビジネスなので、上場しているかどうかで見られ方がかなり違うこと感じています。
ーーステークホルダーの中で「従業員の家族」とおっしゃられるのが印象的です。
ベンチャーの経営者だったら、絶対に意識すべきなのが「従業員の家族」です。
従業員自身にとって最大のステークホルダーは家族やパートナーですよね。例えば私が初めてエンジニアを採用しようとした際に「奥さんが心配してる」と言って悩んでいたので、エンジニアと彼の奥さんと私の3人でランチをしたこともありました。他愛もない話をしただけだったのですが、その結果奥さんが入社を前向きに捉えてくれるようになりました。
結局、親ブロックとか嫁ブロックとか旦那ブロックとか世間では色々言われていますが、そういう意味で言うと、従業員の家族に応援されない会社は採用で勝てませんからやっぱり厳しいなと思っています。
これは従業員に限った話ではありませんが、やはりステークホルダーに応援される会社になることが、会社を成長させていく上で何より重要なことだと思います。
※インタビュー記事は2021年4月19日現在の内容です
>次のページ「アウトソーシング中心のマーケットになるのではないか Kaizen Platform 須藤憲司CEOが描くDXの未来(第4話)」
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DIMENSION 編集長
「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。
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