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会社の価値を引き上げる「創業期の資金調達」戦略とは ヤプリ 庵原保文CEO(第3話)

「ノーコード」で、ブラウザー上でドラッグ&ドロップするだけでスマホアプリの開発や運用、分析が可能なプラットフォームサービスYappli(ヤプリ)を展開する株式会社ヤプリ。DXを推進する画期的なツールとして導入実績は550社を超え、2020年12月に東証マザーズ上場も果たした。そんな同社を牽引する代表取締役 庵原保文氏に起業家の素養やSaaS事業の経営などについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの中山航介が聞いた(全4話)

全く理解されなかった創業期

ーー御社の創業期の資金調達についてお聞かせください。

共同創業者の佐野、黒田と一緒に2年もかけて開発したプロダクトでしたので、コンセプト的にも技術的にも、創業時からかなり自信を持っていました。

しかし、とあるIT系のCVCを訪ねて行ったところ「これはビジネスにならない」とバッサリ。2年間もかけてこれだけのものを作ったのにやばい、と焦りましたね。

その時に考えたのは、創業時の資金調達ではプロダクトの可能性や技術力うんぬんよりも、創業者個人のレピュテーションを強みとして押し出すべきだということ。

アプリの市場すらまだほとんど無い段階で「ノーコードでアプリが作れる」ことの魅力を投資家にゼロから理解してもらうのは難しいと思ったのです。

 

ーーそこからどのように方針変更されたのでしょうか?

単純に私たちが個人として評価されるところ、つまりは古巣のヤフーに行こうと考えました。

ちょうど当時YJキャピタルが立ち上がったばかりの頃だったので、昔の上司だった川邊さんに連絡し、YJキャピタル社長の小澤さんを紹介していただいたんです。

小澤さんはプロダクトを見せた途端に目の色を変えて、すぐに3,000万円のシード出資を決めていただきました。

私の場合は前職がヤフーであったことが幸運でしたが、他の人でも活かせることがあるとすれば「どんな仕事も一生懸命することが大切」ということです。仕事で得た信頼は、いつか必ず自分に返ってきます。

プレミア価値を高める資金調達戦略

ーーシードラウンドから2年半ほどしてシリーズAラウンドを実施されています。創業から比較的長い期間があったようにも思いますが、どのような背景があったのでしょうか?

実は途上で数千万円の出資話はいくつかいただいていたんです。経営者としては資金もギリギリだったので飛びつきたい気持ちもあったのですが、YJキャピタルの小澤さんに「大きくやろう」と視座を上げていただき、グッとこらえましたね(笑)。

私自身、GAFAやヤフーのような社会に大きなインパクトを与えるスタートアップが作りたかったので、シリーズAラウンドでの資金調達方針はヤプリを「プレミアムなブランド」にしようと決めました。

最近では護送船団方式のように様々な投資家を入れて資金調達をするのが一般的かもしれませんが、私たちはその真逆。とにかく投資家を選定して限定し、それによって会社の価値を高めようと考えました。

先ほどお話ししたPMFまでの道のり(第2話)を経て、最終的には代表的なVCであるグロービスキャピタルパートナーズ、そしてSaaS代表格のセールスフォース、さらにはDeNA共同創業者の川田尚吾さんという超豪華布陣に出資いただきました。

ーー庵原さんのお話をお伺いしていると、これまでのキャリア、知見すべてを血肉に変えて経営していらっしゃるのが印象的です。

出版会社からヤフーに転職した時は、「なんで最初に出版業界に入ったんだろう」とすごく後悔していました。周りはIT出身者ばかりで知識レベルも段違い。「自分は5年もなんと遠回りしていたんだろう」と。

でも、創業初期にPMFに繋がるクライアントを紹介してくれたのは出版社時代の同僚でした。あれがなかったら、創業期の厳しい時期を乗り越えることはできなかったかもしれません。

スティーブ・ジョブズの「コネクティング ザ ドッツ」はまさにその通りで、苦しいと思うことでも、目の前のことを一生懸命やっていれば、いつか必ず点が線に繋がる瞬間が来ます。

安易に易きに流れるのではなく、志を達成することに集中することが資金調達においても大切なのだと思います。

※インタビュー記事は2021年9月14日現在の内容です

 

 

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著者 中山航介

著者 中山航介

DIMENSION Business Producer: 上智大学経済学部卒業後、新卒でドリームインキュベータ参画。大企業向けコンサルティングでの戦略策定、事業投資先への出向(データベース運用・分析)を経て、国内ベンチャー投資を担当、'19年11月にベンチャー投資ファンドDIMENSIONの組成に伴い、ファンドメンバーとして活動。学生時代は製薬業界の市場調査に従事。

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