サブスクの先駆け、国内最大級ファッションレンタル「airCloset」誕生まで エアークローゼット 天沼聰CEO(第2話)

忙しい女性に、“ワクワク”する出会いを

ーー事業領域の選定についてお聞かせください。創業メンバーにアパレル業界経験者がいない中で何故「ファッションレンタルのサブスクリプション」という事業を選ばれたのでしょうか?

先ほどお話しした「目的重視」の考え方からこの事業は生まれました。

当社は私と前川と小谷の3名で創業したのですが、最初に3人でカフェで集まって話をした時も「この事業をやろう」ではなく「会社設立するからには、流行って無くなるものではなく、人々のライフスタイルが豊かになるものを作っていこう」という会話をしていました。

ただ「ライフスタイルを豊かに」と考えても何をやればいいのか、なかなか思いつきません。そんな時に行き着いた考えが、「全ての人が平等に持っているけれど、使い方や感じ方によって不平等になるのが『時間の価値』。億劫だとかめんどくさいっていう時間より、ワクワクしている時間の方が価値が高い」というものです。

私たちが創業から変わらず掲げるビジョンである「“ワクワク”が空気のようにあたりまえになる世界へ」という言葉は、そんな創業メンバーの会話から生まれました。

“ワクワク”している時間をたくさん作り、“億劫”とか“めんどくさいな”って思う時間を減らす。それによって「時間の価値」が高い状態を当たり前にしていきたい。

これを目的に会社をやろう、と3人で決めました

この時点ではファッションもレンタルもサブスクも一切出てきていません。

 

ーーなぜファッションに行き着いたのかが大変気になります(笑)。

ライフスタイルには衣食住を含め様々な領域がありますが、一番人の心に近く、“ワクワク”する瞬間を作れそうだと私たちが感じたのがファッションでした。

ファッションが変わるだけで姿勢が変わったり、歩き方や話し方まで変わったりするかもしれない。それぐらい人の心を動かすことができるのがファッションの素敵なところです。

また、「時間の価値」をより感じて頂きやすいのは誰かと考え、女性向けサービスからスタートしました。これにも理由は2つあります。

1つめの理由は、 限られた時間の中で、朝の準備なども含め、総じて女性の方が時間に追われていること。ファッションでいうと、男性よりも圧倒的に多い選択肢の中から自分に合ったスタイリングを探すことにも時間が余計にかかっていますよね。

2つめが、ライフステージの切り替わりタイミングで、女性の方がご自身の時間の使い方について考えるきっかけが多いこと。

例えば仕事が忙しくなって学生の頃のようにゆっくりファッション誌を見る時間が無くなったり、マタニティ期に身体変化に合わせたスタイリングを考えなくてはいけなかったり、子育てで子供服を探しているとご自身のお洋服探しの時間が無くなったり。

これらの理由から女性の方が「時間の価値」を感じて頂きやすいと考えました。

さらに「時間の価値」を高めやすい女性は誰だろうと考え、「忙しい女性向けのファッションサービス」を作ろうと考えました。忙しい女性は、時間が理由でファッションにおいて諦めてしまっていることが多いからです。

忙しい女性を忙しく無くすことは我々にはできない。でも、忙しくても時間を有効活用して「“ワクワク”するファッションと出会える」サービスが作れたら、素敵なサービスになるんじゃないか。

ここまで、まだレンタルもサブスクも出てきていません(笑)。

 

日本初の“ファッションレンタルサブスク”誕生

ーー「忙しい女性が、“ワクワク”するファッションと出会える」を目的としたときに、様々な手段が考えられそうです。

そうですね。どうやって出会いを作ろうかと、それこそバーチャル上の出会いなども含めて色々と考えました。

でもやっぱりファッションが“ワクワク”する瞬間は、実際に着用したときのフィット感や肌感、周りとのコミュニケーションから生まれるもの。リアルにお届けするサービスにしたいと考えました。

そしてどこか特定の店舗での出会いだけではなく、日本全国に出会いを作りたいのでオンラインサービスにしようということで、ようやく「ファッションレンタルサービス」という考えが浮かびあがります。

最初はお洋服が一覧で表示されて、借りたいお洋服を選んでいただくモデルも考えたのですが、それでは忙しいせいで“ワクワク”するお洋服と出会えていない女性の課題解決になりません。

そうして、時間を使わなくても“ワクワク”するファッションと出会える、我々が「パーソナルスタイリング」と呼ぶ提案型のレンタルスタイルが生まれました。

このサービスなら時間価値の向上にもなるし、自分の価値観だけでお洋服選びをしてきた人の可能性を広げられるかもしれない、二重に面白いサービスだなと。

 

ーーまだ「サブスク」が出てきていませんね。

はい。実は最初は「スタイリストがスタイリングしたお洋服を、返却期日までにクリーニングして返却してください」という都度課金型のサービスを考えていたんです。

でも目的に立ち返った時に、ちょっと待てよ、と。

忙しい女性の方に対して、いつまでに返してくださいとか、クリーニングして返してください、では「時間の価値」を高められていません。

ならば返却期限を無くして好きな時に返せる形にして、クリーニングも我々がさせていただく。そうすればお客様が時間を気にせず届いたお洋服をたくさん着ていただけるし、お返しいただいたら次また新しいお洋服が届くまで待つだけでいい。忙しい中でも、たくさん“ワクワク”するファッションとの出会いが作れるんじゃないかと考えました。

そういう思考順で私たちのファッションレンタルサービスは誕生します。結果的にたまたま月額制の、日本で初めてのサブスクリプションサービスとなりました。

 

 

 

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DIMENSION 編集長

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「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。

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