#インタビュー
2000年の創業以来、大企業向けの新規事業創出・産業プロデュースを数多く手がけてきた株式会社ドリームインキュベータ(以下、DI)。今回は、DI在籍中にDIMENSIONファンドを立ち上げ、2021年にMBO・スピンアウトを経て独立した宮宗と、DI代表取締役社長の三宅孝之氏による特別対談を企画。前半では「事業を大きく育てる」ポイントやスタートアップとの向き合い方について、後半ではDIMENSIONキャピタリストの黄が、MBO・スピンアウトの舞台裏について話を聞いた。(全4話)
第1話 【特別対談】「大企業では100億円でもまだ小さい」株式会社ドリームインキュベータ 三宅孝之社長が語る、3000億円規模の新規事業立ち上げの要諦(第1話)
第2話 【特別対談】「互いに学べることはない」から始まる相互理解――大企業とスタートアップが手を組む条件 株式会社ドリームインキュベータ 三宅孝之社長(第2話)
第3話 【特別対談】「MBO・スピンアウト」DIとDIMENSION両当事者が語る舞台裏 株式会社ドリームインキュベータ 三宅孝之社長(第3話)
第4話 【特別対談】「信頼の輪」「100人の仲間」次世代ビジネスパーソンへ贈るメッセージ 株式会社ドリームインキュベータ 三宅孝之社長(第4話)
黄:当時スピンアウトされたとき、特に苦労されたところはありますか。
宮宗:苦労しかなかったです(笑)。
ブランドのある会社から、誰も知らない「DIMENSION」という名前を確立しに行かなければいけない中で、ファンドも立ち上げなければいけない。運の良さや市場環境に助けられた部分もありますが、苦労しかなかったですね。
三宅:そうだと思います。宮宗さんの苦労はよくわかります。
もともと私も経済産業省というところにいたので、その時は名乗ればすぐにわかってもらえていた。でも、創業当時のドリームインキュベータだと「ドリームインベーダーですか?」と言われたり(笑)。

黄:お二人はもう20年以上のお付き合いなんですね。
宮宗:長くなりましたね。
三宅:そうですね。20年以上ですね。私はDIには2004年に入社したので。
宮宗:私は2002年に、第二新卒のような形でDI入社させてもらいました。三宅さんは経済産業省の後、コンサルティング会社で活躍されてからDIに移られて。最初は席も隣で、チームも一緒でしたね。
三宅:マネジャーになったのは私の方が少し早かったんですが、宮宗さんのマネジメントがとても人気があって、「三宅さん、宮宗さんのマネジメントを学んでください」と下の人に言われていたのを覚えています。
黄:そんな過程を経て、お二人は今、事業でもプライベートでも良好な関係にあると思うのですが、双方がハッピーになれるスピンアウトやMBOの条件は何だとお考えですか。
宮宗:まず私からお話しすると、元の会社に対して「不義理を働かない」というのは、まずベースとして大事だと思います。
それから、双方が成長し続けることもすごく大事です。
依存せずに切磋琢磨して、それがお互いの刺激になる。成果を出し続けることが大切なんじゃないかと思います。
三宅:いいですね、成果を出し続けるというのは。話してもしょうがない相手だと、関係も続かなくなってしまいますからね。
もう一つ、私は信頼が大事だと思っていて、お互いにWin-Winになるように常に気を配ること。こちらからどんどんギブしてあげれば、それがまた返ってきて、ぐるぐる回っていく。結局は人との信頼がないとうまくいきません。

宮宗:三宅さんはこれまで、俯瞰して物事を捉えるということを大事にされてきたと思います。それがあったからこそ、私たちのMBO・スピンアウトも最適な形を判断できたのではないかと思うのですが、経営判断において大切にされているポイントを伺いたいです。
三宅:信頼はすごく大事にしています。これがなくなると、もう何も起こらなくなってしまう。
「わらしべ長者」の話にも通じますが、私には世の中に100人くらい、いろいろな業界に仲の良い人がいて、連絡するとすぐに会ってくれる関係があります。ずっとお互いに貸し借りをしてきていて、宮宗さんもその一人です。
こういうときはこの人、次はこの人、という感じで、数人回るだけでビジネスモデルができてしまうこともある。官僚の方々の中にもそういう人たちがいて、規制やルールについても「これってどう思いますか」とすぐに聞きに行ける。
そのコアになる信頼のおける存在は、10年前位だと50人くらいだったのが今は100人くらいになっていて、私の宝物です。
黄:まずはギブしていると返ってくる、と先ほどおっしゃっていました。
三宅:仕事の中では、人を好きになる気持ちをいつも持つようにしています。
ちょっと変わった人でも、自分が好きだと思うようにすると、なぜか向こうも返してくれて、いい関係になっていくことが多い。
会った人、インタビューに行った人は、まず「この人が好きだ」というところから入って、尊敬していますとちゃんと伝えます。その人のことを勉強して、「これがすごいですね」「本を読みました」と伝えると、向こうもどんどん笑顔になってくれる。それを繰り返していくと、勝手に関係が広がっていくんです。
ビジネスは絶対に一人ではできないので、自分が優秀であることよりも、尊敬の気持ちを伝えながらやっていくことが大事だと思っています。

宮宗:せっかくキャピタリストとしてのキャリアを始めたばかりの黄がいるので、最後に、起業やキャリアアップを志す若者へのメッセージをいただけますか。
三宅:わかりました。3つお伝えします。
1つ目、世の中では「ホワイト」ということがよく言われますが、「頑張らないことにはリスクがある」ので、頑張った方がいいと思います。
私は経済産業省に入省して6年目までずっと大変でしたし、その後移ったビジネスコンサルの世界でも大変でした。
でも、その経験が今すごく役に立っています。プライベート返上で働いた日々もありましたが、本当に良かったと思っています。
今は時代が違って、上の人が「頑張れ」と言ってくれる時代ではないですが、「頑張らないことはリスクがあるよ」、というのは、私は新卒の人にはあえて必ず伝えるようにしています。
2つ目は、時間はとても大事だということです。創業者である堀紘一氏から「お金は取り戻せることがあっても、失った時間は取り戻せない。だから、時間はお金以上に大切なんだ」と教えられたことがあります。
私は学生の頃や経済産業省にいた頃は時間にルーズで、ミーティングに5分10分遅れる方がかっこいいとすら思っていました(笑)。

宮宗:全然知りませんでした、そんな三宅さん。
三宅:堀さんには「そんなことをやっているから、お前の時給は上がらないんだ」「時間を大事にしない人間は、相手からもそう思われて、結局自分に跳ね返ってくる」と言われました。
そんな学びを経て、時間の使い方や、相手の時間を大切にすることを、ずっと大事にした方がいいと思っています。
3つ目も、これも堀さんに関わる話なのですが、「三宅、一流のコンサルタントというのは、10人いれば9人に嫌われてもいい。1人だけにめちゃくちゃ好かれたらいいんだ」と言われたことがあって。
私はそのとき、「堀さん、それなら僕はコンサルタントではないです」と言ったんです。「僕はビジネスプロデュースをやっています。10人いたら10人に好かれたいんです。10人と一緒に仲良くやりたいんです」と。
「そうか、俺とお前は違う人間だな」と言われてそのときは終わったのですが、私は今でもそう思ってます。
キャピタリストもビジネスプロデューサーと同じだと思うので、10人いたら少なくとも9人には好かれるように。先ほど言ったように、自分から相手を好きになるようにする方がいいんじゃないかと思います。
黄:すごくわかりやすいお話でした。本当にありがとうございます。
宮宗:本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
三宅:こちらこそ、ありがとうございました。
>本編動画全編 11月10日公開予定
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