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SaaS企業の代表格。ノーコードアプリ開発「Yappli」が生まれるまで ヤプリ 庵原保文CEO(第2話)

「ノーコード」で、ブラウザー上でドラッグ&ドロップするだけでスマホアプリの開発や運用、分析が可能なプラットフォームサービスYappli(ヤプリ)を展開する株式会社ヤプリ。DXを推進する画期的なツールとして導入実績は550社を超え、2020年12月に東証マザーズ上場も果たした。そんな同社を牽引する代表取締役 庵原保文氏に起業家の素養やSaaS事業の経営などについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの中山航介が聞いた(全4話)

「アプリの時代」到来を確信した

ーーアプリ開発・運用・分析をノーコードで提供するアプリプラットフォーム「Yappli」を創業された経緯をお聞かせください。

1つめの理由は「アプリの時代」が来るという確信です。

実はヤプリを起業する3年前、ヤフーを退職するときにヤプリ共同創業者の佐野と一緒にスノーボードの滑り方やジャンプ方法を解説するスノーボードハウツーアプリを作ったことがあったんです。

それは2010年にApp Storeがオープンしたばかりのアプリ黎明期の頃だったのですが、Webサービスと比べてアプリのユーザビリティがあまりに圧倒的で。まるで体の一部として使えるような感覚を得て、間違いなく「アプリの時代」が来ると思いました。

2つめは「アプリを作るのは難しい」という原体験。

先ほどのスノーボードアプリを作るだけでも、プログラミング言語はWebではなくてiOSやAndroid用の専門言語を使わなくてはいけません。ゆえにアプリが作れるエンジニアはそもそも母数が少ない。しかも一生懸命作ったアプリがアプリストアに申請却下されることもある。

Webサービスを開発してきた身からすると、なんて「アプリを作るのは難しい」んだと思ったものです。

この2つの思いが重なりました。来たる「アプリの時代」に、誰でも簡単にアプリが作れる、今の言葉でいうと「ノーコードで」アプリ開発できるサービスがあれば必要とされるんじゃないか、と思いついたのか震災の翌月の2011年4月でした。

 

ーー当時はまだアプリが普及する前で、事業として成立するか見極めるのは難しかったのではないでしょうか。

あれから10年経った今、「SaaS・ノーコード開発をやるなんて先見の明があった」と言われるのですが、当時はただ画期的なWebサービスを作りたい一心でした。BtoBのサービスをやろうとか、SaaSをやろうとかいう意識も一切ありませんでした。

創業メンバーも全員ヤフー出身でBtoCのサービスをやっていたメンバーばかりだったので、正直BtoBサービスを侮っていましたね(笑)。「こんなに大変だと最初からわかってたいら絶対にやらなかった」とよく創業メンバー間で話しています。

でも無知だったからこそ、恐れることもなく大風呂敷を広げてサービスを開発できました。過去に類似の経験があったら、難しさが頭をちらついて実行できていなかったかもしれません。

全力で空振りし続けた"奇跡の2年半”

ーーまずはtoC向けのサービスとして開発されて、現状のtoBサービスとしてPMF(Product Market Fit)に到るまでにどのような変遷があったのでしょうか?

我々の場合、完全なるプロダクトアウトからスタートしました。「ノーコードでアプリが作れる」サービスは絶対にニーズがあるという直感をベースにプロダクト開発したので、正直言ってマーケットや売り方は深く考えていませんでした。しかも市場のパイオニアだったので、先行者の成功事例もありません。

なのでおっしゃる通り、最初は個人向けのサービスとして低単価・クレジットカード購入型で売り始めたのです。しかしながら、1年経っても売上がなかなか伸びませんでした。

創業時に調達したお金も徐々に減っていき、2年目くらいからビジネスモデルを試行錯誤し始めました。その一つの方向性として始めたのが、サービスの付加価値を高くして法人に販売するBtoBサービスでした。

とはいえ、toBサービスとしても最初からいきなりうまくいったわけではありませんでした。

ーーPMFにたどり着くまでを改めて振り返って、良かったことは何でしょうか。

PMFにたどり着くまでの2年半を振り返ると、創業メンバー3人が完全に異なる強みを活かしながらスピーディーに仮説検証を繰り返せたことが良かったのだと思います。

最初の顧客30社はすべて私が一人で直接営業をしましたし、顧客のアポイントが決まったら即座に黒田と佐野がデモアプリを開発して、商談の場で実際に作ったアプリをお見せする、というスピード感で日々改善を進めていました。

また、創業者3人以外にメンバーを増やすこともしませんでした。ゆえに余計なコミュニケーションや役割の被りも発生せず、超効率的に進められたと思います。

答えにたどり着くまでは長い2年半でしたが、ヤプリの進化においては“奇跡の2年半”だったと思っています。

※インタビュー記事は2021年9月14日現在の内容です

 

 

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著者 中山航介

著者 中山航介

DIMENSION Business Producer: 上智大学経済学部卒業後、新卒でドリームインキュベータ参画。大企業向けコンサルティングでの戦略策定、事業投資先への出向(データベース運用・分析)を経て、国内ベンチャー投資を担当、'19年11月にベンチャー投資ファンドDIMENSIONの組成に伴い、ファンドメンバーとして活動。学生時代は製薬業界の市場調査に従事。

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