#ビジョン
「DX・AIを駆使したテクノロジーによりM&A業界を変革する」をビジョンに掲げ、急成長を遂げるM&A総合研究所。創業3年9ヶ月で東証グロース市場への上場も果たし注目を集めている。同社代表取締役CEO佐上峻作氏が語る起業家の素養、事業成長のポイントとは?(全4話)
全てに精通する、圧倒的に。
ーー佐上さんが考える、起業家にとって重要な素養を挙げるとすると何でしょうか?
「徹底的にやりきる」。何事も全く妥協せずに、最後までやりきることです。
よく「経営者は様々なジャンルに対して90点くらい取れないといけない」と言われますよね。ある程度キャリアを経て経験や人脈が豊富な人なら別ですが、若くして起業して会社を大きくしようと思うと「経営者自身の能力が圧倒的じゃないと誰もついてこない」と思っています。
なので私は「全て自分でやってみる、徹底的にやりきる」と決めました。
佐上峻作(さがみしゅんさく)/1991年生まれ
神戸大学農学部卒業後、マイクロアド入社。広告システムのアルゴリズム開発等に従事したのち、2016年に1社目である株式会社Alpacaを創業。約1年で株式会社ベクトルへ株式譲渡。2018年に2社目であるM&A総合研究所を創業し、2022年6月、創業から3年9ヶ月で株式上場を果たす。
学生時代はデザイナーとしてサービス開発を多数し、新卒では最も若いうちに学ばないと難しそうなエンジニアリングを学ぼうと、当時一番システムとして先鋭的であったDSP配信プラットフォームを開発するマイクロアド社にエンジニアとして入社しました。
そこでマーケティングについても学びましたし、1度起業(2016年、1社目である株式会社Alpacaを創業し、約1年で株式会社ベクトルへ株式譲渡)した際にファイナンスや人事・広報も自分で徹底的にやりました。採用に関しても今までに1,000人以上面接してきたと思います。
あらゆる領域に精通しているが故に、マネジメントする際にどの作業にどれくらい工数が発生するか、全ての業務に対して数字で把握できています。
最初は自分自身が徹底的にやって理解する。タスク化させてからは基本的には人に任せ、自分は別の業務を行う。これが私のスタイルです。
成功の法則は「逆算思考」
ーー学生時代から経営者を目指して、意図的にさまざまなスキルを習得したということでしょうか?そのような考えを持たれた原体験があればお聞かせください。
父は警察官で、祖父は会社経営者でした。家が近かったので毎週祖父の家に行っては「商売とは」というのを教えこまれていた気がします。そこから経営者に興味を持ち始めました。
祖父がよく言っていたのは「運は全員一定。結局、常に努力し続けて、運が来たタイミングでそれをつかみ取れるかどうかが差になる」「1/100のおみくじは、当たるまで100回挑戦すれば必ず成功する」といった根性論的なこと。
でも実際、私も学生時代を含めると数十の事業を当たるまでやり続けたおかげで「事業がうまくいく法則性」を体得しました。ですから、「まずは自ら何でもやってみる」というマインドはそこから生まれているように思います。
ーー「うまくいく法則性」について是非詳しくお聞かせください。
「逆算思考」が法則性かもしれません。
優秀な経営者、例えばソフトバンク孫正義社長などは皆さん「60歳までにどうする」という逆算をされていますよね。逆算しないと、そもそも明確な目的を持って行動を人はできないと思います。
ですから、まずは目標を持つ、しかも数値的な目標を。そしてそれに合わせ、どういう障害があるか全て洗い出して論理的に行動を組み立てていく。数字に基づかない経営は上手くいき続けることが難しいです。
この逆算思考が「事業家と経営者の違い」なのだと思います。
例えば、「タピオカが流行っている」というユーザーニーズを拾ってタピオカ屋さんを立ち上げる。これはボトムアップ型の事業家発想で、これはこれで大切です。しかしながら市場規模をマクロ視点で見られていないから、「途中まで伸びたけど、売上成長が止まった」といったことが起こり得ます。
一方でマクロな視点で考えられる経営者は、どういうインダストリーがあって、そのインダストリーのシェアを何%取って、事業や会社をどれくらいの規模にするかを考えて起業します。そしてとるべきアクションを意思決定していくべきなのです。
学生時代から数学は好きだったのですが、今も経営という証明問題を解き続けているような感覚があります。
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DIMENSION 編集長
「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。
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