#人事・組織
アーティストやアイドルによるコンテンツ配信が無料で視聴でき、誰でもすぐに生配信が可能な"夢を叶える"ライブ配信プラットフォーム『SHOWROOM』。急成長する同サービスの運営会社SHOWROOMの代表取締役社長・前田裕二氏に、起業家としての心得や事業戦略について聞いた。(全6話)
まずは自分の世界観を持ってほしい
――最後にこれを読んでいる起業家や起業家になりたい人たちにメッセージがあればお願いします。
メッセージか……。それこそ、本記事の読者という「他者」への想像力を発揮しにくいからちょっと難しい。その人のパーソナリティが分かっていれば、的確なメッセージを提供できる自信があるんですが。
それでもあえて言うなら、「自分の世界観や信念をもつこと」。じゃあ前田の信念はなんなのかというと、繰り返しお伝えしている通りなんですけど、僕は「運命正当化の旅」という信念を持っています。人ではなく、運命と戦う。自分自身に降りかかってきたネガティブなあらゆる事象をむしろバネにして、正当化して、乗り越えていきたいという思いがあります。
SHOWROOMに何があっても絶対に折れない、負けないって思うのは、根底に僕のそういった原体験とか、煮えたぎるような信念があるからだと思っています。そういう意味では僕からのメッセージは、自分をしっかり見つめて、確固たる世界観を持って欲しい、ということです。
――それは起業家個人としての?
理想はもちろん、個人と会社の両方です。というのも、そもそも何らかの形で「幸せになるために」起業してるわけですよね。
これは社員に対しても言うんですけど、社員が事業に貢献してくれるかどうかよりも、もっと大事なことがあります。それは、「その人の人生自体が幸せかどうか」ということ。会社の幸せより、個人の幸せが先、と思っています。
だから例えば「アメリカのXXXって勉強会に行きたいんです」とか社員が言ってきた時に、そこで学んだことがSHOWROOMにアウトプットとして出てくるのは何年後になるか分からないし、出てこないかもしれない。でもそれは関係なくて。SHOWROOMとしてはその人の人生が幸せになることを最大化したい。なぜかといえば、人生いろんな選択肢がある中で、わざわざここを選んでくれたっていう縁や、それに対する感謝があるからです。
先ほどの起業家の話でいうと、自分の人生の中にいろんな選択肢がある中で起業するって道を選んでいるわけで、それはなんらかの効用を追っているわけじゃないですか。とすると自分の人生にとっての幸せはなんだ、と。自分の人生においての物差しとかコンパスはなんですかっていう。事業は抜きにして、そういうものをまず構築してほしい。そっちが絶対大事です。
事業から来ちゃうと、「あれ?気づいたらなんで俺はこんなB向けのサービスをやってるんだっけ?」とか、ふと思いたち、立っていられなくなることもあるかもしれません。もちろん、事業モデルがなんだとしても儲かればいいんですっていう価値観があるってことに気づいて、自分はその価値観だと決めて動くんであればそれはOKだと思います。が、それがないと、きっと、どこかでぶれてしまいます。
だから僕の話を聞いて、「ああ、事業を成功するには仮説思考が大事なんだ」とかじゃなくて、まずは人としてあなたには何が幸せなんだい?と問うてほしいです。
価値観を「決めていること」の重要性
例えば、僕は兄貴のことをこの世で一番尊敬してるんですけど、彼にとっては、圧倒的に仕事が大事”じゃない”んですよ。もう、家族しか大事じゃない。だから、時々、普通に午後1時とかに家に帰ってくるし。午後1時に帰ってくるセールスマンってなんだって話ですよね。笑
僕が彼のことを尊敬している理由は、「決めているから」です。彼の人生におけるコンパスは、僕が物心ついて、初めて兄の姿を見たようなタイミング、おそらく兄が15歳とかそれくらいの時期か、あるいはそのずっと前から、既に決まっていたのだと思います。兄貴は、10歳年上なんですが、彼女よりも学校よりも何よりも、僕や家族のことを大事にして、時間を使ってくれた。なぜなら、彼の中のトッププライオリティは、いつだって家族だったのです。それは今もそうです。
兄貴は18の時に見つけた仕事を今もやってるんです。もちろん一度決めたことはずっと継続する性分もありますが、僕からすると、恐ろしいほどの一貫性を持って、「仕事より家族」という姿勢を貫いてる。外資企業からオファーが来た時も、彼は全然興味がなくて。働く量が2倍3倍になるってことは、家族との時間が減るから、それはいやだ、と。そして、確固たるコンパスをもっているから、ものすごーく幸せそうなんですね。あれだけ幸せそうな人って、本当に見たことがない、と言えるくらい。それはすごく素敵なことだなって思うから、尊敬してるんです。
成功することもいいことだし、お金を得ることもいいことだし、事業を通じて社会にインパクトを残すこともいいことだけれど、それよりもそもそも、「自分の人生にとって大事なことは何か」ってことをとことん突き詰めて考えてやってほしい。
自分にとっての幸せと事業が紐づいた時、起業家は最高にハッピーになれる
その上で言うなら、読者の方がこのインタビューにたどり着いているってことは、なんとなく直感的になのか、深く考えた結果なのか分からないですけど、自分の人生において幸せはこれ(=起業家としての道を歩むこと)、と思っているわけですよね?
必ずしもそうじゃないこともあるでしょうけど、自分の価値観と事業が紐づいたら、こんなに幸せなことはないです。いま僕は幸いにもそういう状態になれているから、心からの生き甲斐のようなものをすごく感じていて、高い幸福度の中で仕事ができています。
SHOWROOMのある世界とない世界で、世界の景色や、誰かの人生が変わるんだって、日々感じられる。このことがここまで幸せに思えるというのは、SHOWROOMが果たしている価値が、僕個人が社会に対して果たしたい価値と、綺麗に合致しているからなんだなと、思っています。
なので、とにかく内省を深めてほしいっていうのが、なんかおじさんっぽくて嫌なんだけど、、僕からのメッセージです
>第5話「本気で世界一を獲りにいく挑戦が始まる」に戻る
>SHOWROOM公式HPはこちら
著者 小縣 拓馬
起業家向けメディア「ベンチャーナビ」 編集長。玩具会社のタカラトミーを経てDIに参画。ビジネスプロデューサーとして、主に国内ベンチャーへの投資・事業支援・戦略立案を担当。 ~「More than Meets the Eye」 これは玩具会社時代に担当していたトランスフォーマーというシリーズの代表的なコピーです。見た目だけではわからない、物事の本質に焦点を当てること。そんな想いで記事を提供していきたいと思っています。~
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