#ファイナンス
アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake(マクアケ)」を展開する株式会社マクアケ。2019年には東証マザーズ市場へのIPOも果たした。そんな同社を牽引する代表取締役社長中山亮太郎(なかやまりょうたろう)氏に、起業家にとって重要な素養、成長事業の創り方などについて聞いた。(全6話)
メンバーの想いを編み合わせていく
ーー起業家にとって重要な素養の3つめとして「想いの編集力」という独特な表現をされています(第1話リンク)。この言葉を選ばれた理由について詳しくお聞かせください。
この言葉の裏にあるのは「会社は起業家だけで成り立っているわけではない」ということです。
マクアケも創業から人が増えてきましたが、弊社に集まるメンバーはみな素直で成長に貪欲な一方で、「想い」に関してはひと際強いものを持った、ある意味頑固な人たちが多くいます。
この強い「想い」を持った人たちのベクトルを揃えるために、それぞれの想いを編集し、編み合わせていくことをやってきました。まさに「想いの編集力」と言った所以はそこにあります。
ーー目指す方向をトップダウンで示し、メンバーを引っ張っていく一般的なリーダーシップ像とは真逆の表現かもしれません。
トップダウンでベクトルを合わせようとすると、ある種の「想いの矯正力」が働いてしまいます。そうではなく、「想いの編集力」によってメンバー全員が自分の素直な想いを実現できる組織づくりを目指してきました。
その際に気をつけていたポイントが、会社のビジョンをメンバーの想いの“最小公倍数”にしないこと。そうではなく、“想いの掛け算”によって生まれるものにするよう意識しました。
そうやってメンバー全員の想いを紡ぎ、掛け合わせてできたのが「生まれるべきものが生まれ 広がるべきものが広がり 残るべきものが残る世界の実現」というビジョンです。
ーーこのビジョンは中山さんご自身で考えられたのでしょうか?
弊社はカルチャー推進専任担当がいて、ビジョン言語化の旗振り役も担ってもらいました。
ビジョンが浸透し、ビジョンに対してメンバーが熱狂するにはどうしたらいいか。様々な施策考え、徹底的に実行していくのがカルチャー推進専任担当です。
この役割を任せる専任者を置くというのは、ただでさえ人が足りないベンチャーである我々にとっては大きな意思決定でした。ほかのベンチャーではなかなか真似できないことではないでしょうか。
しかし組織として「想いの編集力」を高めることが最重要だと考え、私が意思決定しました。おかげでビジョンやカルチャーが明確に言語化され、弊社の大きな武器になってくれています。
「想いの編集力」が起業家にとって重要だからと言って、必ずしも自分一人で言葉を考える必要はありません。想いを編集することの重要性を認識し、組織にその姿勢を根付かせていくことがトップとしての使命だと考えています。
ビジョンにワクワクしているか?
ーー組織づくりにおいて、非常にビジョンを重要視されている印象です。
「ビジョンを大切にしている」と言う会社は世の中に数あれど、その中でもマクアケは突出してビジョンを大切にしている自信があります。
その特徴は、我々が掲げる行動指針「Makuake Standard」にも現れています。
「Makuake Standard」
・私たちにはビジョンがある。
・挑戦を愛し、自ら幕を開ける。
・技術に寄り添い、社会に価値を届ける。
・理解することをあきらめない。
・360°の成功にこだわる。
・ワンチームなプロ集団。
・崇高をめざそう。
普通は行動指針の1つめに「私たちにはビジョンがある。」なんて入れないですよね。ビジョンがあるのは当たり前のことですから。
しかし我々は行動指針の1つめにビジョンがあることを謳っている。それくらいビジョンを重要視して、あらゆる意思決定においても「ビジョンに紐づいているか?」が判断基準となる組織カルチャーになっています。
ーー人材採用もやはりビジョンドリブンで選考されているのでしょうか?
人材採用の際にも「ビジョンに共感していないのなら絶対に入らないほうがいい」と言い切るくらい、極端に振り切ってビジョン共感度を重要視しています。
根底に「全員がビジョンに一歩でも近づけると思って努力している」という信頼があるからこそ、何か失敗や衝突があっても乗り越えられる。
「ビジョンにワクワクし続けていること」こそが働き方の理想像であり、遺伝子レベルで我々に染み込んでいるカルチャーなのです。
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DIMENSION 編集長
「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。
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