#ビジョン
「世界をKAIZENする」をミッションに掲げ、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を支援するプラットフォームとサービスを展開する株式会社Kaizen Platform。急拡大するDX市場を捉え2020年12月には東証マザーズへのIPOも果たした。そんな同社を牽引する代表取締役CEOの須藤憲司(すどう けんじ)氏に、起業家の素養や事業成長のポイントなどについて聞いた。(全4話)
「クリエイティブ」な仕事のあり方
ーー起業までの経緯や、現在の事業を選定された理由についてお聞かせください。
実は最初から起業しようと思っていたわけではなく、まずは会社を辞めようと思ったのが始まりです。その時に、他に行きたい会社があるか考えても無かったので起業しました。ある意味、消去法での決断でしたね。
じゃあどんな事業をやろうかと思った時に、リクルート時代に手がけた「クラウドソーシング×バナー広告制作」の事業経験があり、それが示唆に富んでいました。
100人が100通りのバナー広告を作ったとして、どの広告のパフォーマンスが良いかはわかりませんよね。プロが主婦や学生に負けることも多々ある。実際、「クラウドソーシング×バナー広告制作」の事業ではクリエイティブのプロとして仕事をやってきた社内の広告制作陣たちがクラウドワーカーに惨敗しました。
つまりクリエイティブな仕事というのは、時間やキャリアの壁を一瞬で超えることがある。何十時間かけて努力しようが関係はなく、ユーザーに喜んでもらえるかどうかが全てなのです。
そんなクリエイティブな仕事がデジタル領域で爆発的に増えてくる時代において、これまでの製造業モデル的な働き方はフィットしないと感じていました。
オペレーションはAIやシステムの方が上手くできる時代において、もう一度「クリエイティブ」の仕事のあり方を考え直すべき時が来ている。そう考え、Kaizen Platformを創業しました。
ーークリエイティブはAIでは代替されないのでしょうか?
例えば広告バナーを機械で大量に自動生成したとしても、現在ではそれらの良し悪しを人によってチェックするコストがかかります。例えば1000万パターンの広告バナーを作ったとして、それを実際の人でチェックをかけたり、広告で配信して結果を試そうとするとものすごいコストですよね。
そんなチェックコストをかけるくらいなら、ちゃんと人が考えて作ったクリエイティブを機械で収斂(しゅうれん)させていく方がまだコストが低いわけです。
囲碁や将棋のAI精度の向上がすごいのは機械同士を戦わせられるからです。クリエイティブの世界では現状、機械同士で学習させられないため効率が悪いのです。これも、いずれ技術的には開発されると思うのですが、その場合もクリエイティブの可能性を拡げることと、その中から良いものに収斂されていくことの両方がこの業務には必要で、全てをAIが代替するのはまだ先の話だと思っています。
企業内の“勝海舟”を探せ!
ーー新しい事業を立ち上げる際に、初期は市場の啓蒙が求められるかと思います。事業コンセプトを普及させる際に気をつけているポイントはありますか?
啓蒙させようと思わないことがポイントじゃないかと考えています。
関心がない人に関心を持たせるのは難しいので、自分たちのコンセプトに関心を持つ人を探すこと。特に多くのベンチャーはプロダクトが1つしかありませんから、とにかく解決しようとしてる課題に共感してくれる人を探すべきです。
そして興味を持ってくれる人、いわゆるアーリーアダプターに仮説検証を繰り返していれば、結果的に追随する人たちが現れてくるはずです。
Kaizen Platformが提供する”DX”も同じだと思っています。
DXをやりたくない人を口説く時間があれば、絶対に実現したいと思っているキーマンを探した方が早い。
私はよく「その会社の勝海舟を探せ」と言っているのですが、大企業の中にも革新的な人が必ずいるので、その人を見つけ出して仕事をしたほうが、関心が無い人を啓蒙するよりよっぽど早いのです。
ーー大企業の”勝海舟”を探し出した後に、口説くポイントは何かあるのでしょうか?
シンプルに「ベンチャーであること」を最大の強みとして活かすことです。
スピード感・仕事に対する信頼性・一緒に協働できるか?の三点だと思っていまして、これは、先ほど(第1話リンク)お話しした経営者の素養と同じですが、「すぐやること」、「真摯に向き合うこと」「粘り強いこと」の裏返しだと考えています。
こういう人と一緒に仕事やらないと勝海舟も困っちゃいますよね。
※インタビュー記事は2021年4月19日現在の内容です
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DIMENSION 編集長
「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。
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