後払い決済の先駆者ネットプロテクションズ柴田紳社長が考える「経営者の3素養」とは(第1話)

日本における後払い決済(Buy Now Pay Later,以下BNPL)のリーディングカンパニーとして、NP後払い、NP掛け払い、atone(アトネ)などのサービスを展開する株式会社ネットプロテクションズ。2021年12月には東証一部市場への上場も果たした。代表取締役社長の柴田紳(しばたしん)氏に、経営者にとって重要な素養、組織づくりなどについて聞いた。(全4話)

「気が狂ったような信念」が道を拓く

ーー柴田さんが考える、経営者にとって重要な素養を3つ挙げるとするとなんでしょうか?

一つ目は「気が狂ったような信念」。折れない心や勇気とも言い換えられるでしょう。

二つ目は「真摯さ」、そして三つ目は一定の「知性」です。

 

柴田紳/1975年生まれ
一橋大学社会学部卒業後、日商岩井株式会社(現・双日株式会社)に入社。その後、投資会社ITX株式会社にて、株式会社ネットプロテクションズへの投資を実行。2004年、同社の代表取締役に就任。現在に至る。

新しい事業を立ち上げると、絶望するようなことはいくらでもあります。世の中にないことをやろうと思えば思うほど逆風は強く、みんなから「バカじゃないの?」と言われます。私自身、会社に行くのが嫌になってしまったこともありました。

そういう時に折れて負けてしまうのではなく、自分が良いと思った道を信じて進んでいく。そのためには「気が狂ったような信念」が必要です。

二つ目の「真摯さ」はやると決めたのであれば、全ての場面、全ての人に対して真摯に向き合い続けること。一切手を抜かず、毎日100%の力を出し続けて過ごすことです。

当たり前のように聞こえますが、これが意外と難しい。なので創業当初の私はアスリートのような感覚で、毎日フルコンディションで力を出し続けることを意識していましたね。

三つ目の「知性」とは物事の本質を捉えソリューションを考え抜く、そのサイクルを回し続ける力です。

 

ーーそれらの素養をどのようにして磨かれたのでしょうか?

何か特別な体験があるわけではありませんが、幼少期から私の親は何事も自分で決めさせてくれていました。自由だけど、その代わり全責任も自分で背負う。そういった教育環境で育ったのです。

ですから高校や大学、部活動も自分で決めてきましたし、決めたからにはすべて最後までやり抜いてきました。そういった体験を通して「自分は逃げない人間なのだ」という自負はあったように思います。

2001年、私がこの会社に来た最初の1年は本当に苦しかったです。

最初の初期メンバーは私が作ったチームではなかったので、私は嫌われ・陰口を言われて呪われていました(笑)。オーナーでも無いため、自分がリーダーとして何が足りないのか、ひたすら自己反省し続けるしかありませんでした。

全然未来が見えないし、みんなからは馬鹿にされる毎日。自分がやっていることに意味があると思えなくて家に帰った後に泣き続けていました。

でもそんな体験を通して、私の経営者としての素養は磨かれたようにも思います。

 

「後払い決済」誕生まで

ーー投資会社ITXからの出向者としてネットプロテクションズに参画されました。

私が2001年に日商岩井(現双日)からITXに転職し、すぐにネットプロテクションズ買収案件が始まりました。5月から半年間調査と交渉をし、2001年11月に買収が完了します。

ただ正直言って、買収に関しては純粋な失敗でした。デューデリジェンスしたと言いながら、実際に来てみたら事業実態が何も無かったのです。

そんな状況ではITX社内で誰も手を挙げたがりません。誰もできそうになかったので「僕やります」と手を挙げてスタートしたのが始まりです。

 

ーーなぜその状況でやろうと思われたのですか?

俯瞰して見た時に「これは誰もできないな」と思ったんです。客観的に見て、何とか一番うまくやれそうなのは僕なんじゃないかと。

当時の私はとにかく自分の限界、力を試したくて。ITXにも転職というより自分で事業・会社を作るつもりで入社したので、その場面が思ったより早く来たなという気持ちでした。

 

ーー何もないところからのスタートで、最初は何をやられたのでしょうか?

会社にノウハウやお金はないので、強みや出来ることから議論をスタートしても何もできません。現実から積み上げていっても、イノベーションは起きないのです。

事業として「後払い」をやることは決まっていたので、まずは「誰にどんな価値を提供するのか」という定義から始めました。理想の状態から考えて、現実策に落とし込む形でスタートしたのです。

11月に私が入り、サービス開始したのが3月。

とはいっても最初はしっかりとしたシステムが出来上がっていたわけではありません。裏側はかなりの部分を手作業で動かしつつ、ひたすら営業していきました。何もないところから新しい事業を創るのはそんなもんだと思います。

 

 

>次のページ「ティール組織を実践「つぎのアタリマエをつくる」ネットプロテクションズの組織術 柴田紳社長(第2話)

>ネットプロテクションズの採用情報はこちら

>ネットプロテクションズの公式HPはこちら

>>DIMENSION NOTEのLINETwitter 始めました。定期購読されたい方はぜひご登録ください。

DIMENSION 編集長

DIMENSION 編集長

「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。

Others 関連記事

DIMENSION NOTEについてのご意見・ご感想や
資金調達等のご相談がありましたらこちらからご連絡ください

E-MAIL MAGAZINE 起業家の皆様のお役に立つ情報を定期配信中、ぜひご登録ください!*は必須項目です。

This site is protected by reCAPTCHA
and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.