ふたつとない「面白法人」を立ち上げた3人の桃園の誓い 面白法人カヤック 柳澤大輔CEO(第2話)

「日本的面白コンテンツ事業」を業務内容として掲げ、ソーシャルゲーム事業、ゲーム音楽事業、ウェディング事業、葬儀事業など、多岐にわたるビジネスで話題を呼び続けている「面白法人カヤック」こと株式会社カヤック。同社CEO・柳澤大輔氏に起業家としての心構えや、ベンチャー企業の組織づくりについて聞いた。(全5話)

共同創業の困難を乗り越えた3人に共通していた価値観

――御社は柳澤さんと、CTOの貝畑さん、CBOの久場さんの3名で起業されたというのが印象的です。どのような想いで起業されたのでしょうか?

私は着眼点重視型の起業家だとは言いましたが1話リンク、根底に「こういうものが美しい、美しくない」という概念への拘りはすごくあります。「友達同士で始めて、あれだけ仲良かったのに、途中で様々なトラブルで揉めてバラバラに…」という共同創業によくある失敗ケースのような、自己中心的な人の姿はあまり美しくないなと思っています。

揉めてもいいですけど(笑)、仲良くやっていれば、それはそれで世の中を面白くできるのではないかなという思いもありました。

――共同創業が上手くいく秘訣はあるのでしょうか?

これは9割は「運」だったと思います。

私たちの最初はなんとなく一緒にやろうと、特に役割分担も決めずのスタートだった訳ですが、ずっと「3人が代表」であり続けるというのは極めて難しいなとつくづく分かりました(笑)。「何かを目指そう」という時に絶対に方向感が合わない時があるな、と。

それでも3人で仲良くやれてこれたのは「運」だと思うんです。偶然「上場しよう」というタイミングも「どういう機会に引退しないといけないのか」という認識も一致していました。

でも振り返ってみると、なんとなく「こういう人は素晴らしいよね」という人材に対する価値観が3人とも一致していたからだという気がします。

――「運」を掴めるほど価値観が合致していたというのは、創業前から何か直感があったんでしょうか。

共同代表の相性にも、どうしても言語化できない感覚的なものが横たわっているんだろうなという気がします。

私は地域の活動もやっているので、経済的なしがらみや評価から解放された仲間と仕事をする楽しさというのもしみじみ感じている一方で、ずっと一緒にやっていると「感覚的にセンスが合わない」という、言葉で説明できない相性みたいなものの存在も感じています。男女の関係に例えれば分かると思うんですが、遺伝子レベルでどうしようもなく合う合わないがあったりしますよね。

ですが、直感で「この人と一緒にやったら上手くいく」と創業時から理解していたかと言われたら理解していなかったと思いますし、その辺りはやっぱり「運」だと思いますね(笑)。

――難しいですね。なかなか再現性の無いことのような気もします。

ひとつ測る方法があるとすれば、「この人と一緒にいると、楽しいことがいつも起こる」といった事象を根拠にすることではないでしょうか。

好きとか嫌いとか、色々な感情があると思うんですけれど、それは時と共にどんどん変わっていくものです。なので「一緒にいる時に、普段よりもいいことが起こる」とか、そういう自分の感情ではないことで判断するしか無い気がします。

私たち3人も出会った時からステージが変わってきていますが、3人の間に起こる事象に変化はないですね。3人が対等だし、誰かが得して誰かが損するという一方的な感じでもない。友人同士で起業するというのは、これだけで一大テーマとして話せるほど難しいことですが、私たちの場合は3人の関係性に変化が無いことが上手くいっている要因かと思います。

創業時から「面白法人」という言葉に蓄積される価値

――3人が代表ということに加えて、起業した当初から会社に「面白法人」と名前をつけているのは御社の特徴を表しているように思います。どのような経緯でこの名前を決められたのでしょうか?

「面白法人」をどうやって決めたのかまでは正確には思い出せないですね。決まった経緯まではどこにも書いていないと思います(笑)。

ただ想いとしては、会社という堅いものをもっと面白く多様にしていこうという価値観を表現したいとは最初から思っていました。この価値観についても3人の代表が創業時から一致している部分だと思います。

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以下、公式HPより引用

会社もひとりの人であり、ひとつの人格を持っている。カヤックをつくるときに、会社というものについて調べていて知ったことです。であれば、どんな人格の会社にしようか。

よしっ!面白い人にしよう。

こうして、1998年の創業時から、自らを「面白法人」と称することになりました。カヤックをカヤックたらしめているもの。それがこの「面白法人」という言葉です。

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ですから、ユニークな働き方だったり、サイコロを振って給与を決める「サイコロ給」だったり、「面白法人」という言葉から自然と色んなことが生まれてきました。言葉ありきではありますが、この言葉があったから今の価値観を持つ会社になったと思います。

――最初は直感で決めた名前でも、会社の歴史がそれに沿って積みあがっていくにつれて、言葉に重みが増していっているということでしょうか。

そうですね。

この言葉に沿って様々な制度から採用のキャンペーンにいたるまで実施されていくので、価値が蓄積されていくというか、言葉に貯まっていくという感覚はあります。

――現在は創業メンバーの3名で経営されている御社ですが、「次世代の人達の漕ぐカヤックという船が、今後こうなっていってほしい」というような想いはありますでしょうか?

面白法人という言葉のおかげで「言葉を解釈して、突き詰めて、何かをしよう」という文化は根づいていると思うんです。

言葉の解釈の仕方や「これがアリかナシか」の取捨選択は、経営者や時代によって当然変わってくると思います。でも、考えの指針となる「面白法人」という言葉は変わりません。私たちは世の中に新しい価値を生み出し続けない限り、必要のない存在になってしまいます。「面白法人」という言葉に基づいて「自分なりの面白さとはなんだろうか」を常々考えて行動していける組織になれればいいなと思ってます。

 

 

>第3話「本当に事業に役立つ経営理念の作り方」に続く

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著者 小縣 拓馬

著者 小縣 拓馬

起業家向けメディア「ベンチャーナビ」 編集長。玩具会社のタカラトミーを経てDIに参画。ビジネスプロデューサーとして、主に国内ベンチャーへの投資・事業支援・戦略立案を担当。     ~「More than Meets the Eye」 これは玩具会社時代に担当していたトランスフォーマーというシリーズの代表的なコピーです。見た目だけではわからない、物事の本質に焦点を当てること。そんな想いで記事を提供していきたいと思っています。~

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