「世界で勝つ」ロッテホールディングス玉塚元一社長が語る、世界基準の経営者とは(第2話)

「日本の経営者は絶対に勝てない」危機感

ーー玉塚さんが経営者を志したきっかけがあればお教えください。

「海外で活躍するビジネスマンになりたい」というのが学生時代からの思いでした。

そこで海外に拠点が多いメーカーである旭硝子(現:AGC)に入社し、運よく4年目の27歳の時にはシンガポールで10億ぐらいの売上の化学品の販売拠点を任せてもらうことができました。着任当初は部下3人だったのですが、帰国時には20人、100億円規模にまで事業が急成長したんです。

さらにはフィリピンの販売網を強化しようと現地の販売店を買収する交渉があったのですが、部長クラスの方から途中から「ここから玉ちゃんやっといてね」と任され、M&Aのクロージングを任せてもらうようなことも。

アジア中でそういった経営の仕事を任せてもらえた事が本当に楽しくて、「経営って面白い!」と経営者としてのキャリアをすごく意識する経験になりました。

 

そこから帰国が決まった頃、会社の回覧板で「徹底的に海外で経営学を勉強しませんか」という趣旨の掲示を見つけました。自分なりに勉強はしていたものの、どこか整理整頓できていないことを感じていたので、一回勉強する必要があると思いアメリカの大学院に行くことを決意しました。

この経験をして良かったのは、もちろん経営学を学べたこともそうですが、一番良かったのは実際に現地の起業家に会えたこと。30代くらいの、ジーパンを履いてキャップを被ったような出立ちなのに「2000億円の会社を作った」みたいな起業家に何人もお会いできたんです。

彼らのエネルギーと、自分の事業を説明する際のパッション。私たち学生が何を質問しても自分の言葉で的確に返してくれる能力。「10年以内にこんな風に世界を変える」といったことを大真面目に語るアメリカの起業家たちを見て、「日本の経営者は絶対に勝てない」と直感的に思いました。

そこから「世界で勝てる経営者になろう」と思い、旭硝子を辞めることにしました。起業のアイデアも無ければお金も無い中で、たまたまユニクロの柳井さんに巡り合い、日本を代表する起業家の元で学んで、自分がやれる商売を見つけようという動機でファーストリテイリングに飛び込みました。

柳井さんとの出会いが私の経営者人生を決定づけた、というのは先ほどもお話しした通りです。

 

世界展開を前提に起業する

ーーアメリカと日本のスタートアップで異なるポイントはどのような点でしょうか。

世界で成功するスタートアップは事業設計の段階から日本だけでの事業展開を考えません。Day1からアメリカと中国、東南アジアという巨大マーケットで事業を創造できるかどうかを前提に考えます。

その上で、チームフォーメーションも世界展開を前提に考えるべきです。米国や中国に詳しいメンバーやパートナーを選び、グローバル市場をベースにしたチームを作ることで戦略が生まれます。

ではどうやってそういうチームを作るか?ということに関しては、まずは「やってみる」しかありません。

例えばフィリピンに事業コンセプトを持って行くとしましょう。現地のパートナーが必要になりますが、その過程では騙されたり、全然言うこと聞いてくれなかったりと、様々な困難があるでしょう。それは経験と場数を踏みながら乗り越えていくしかありません。

最近では、留学などを経て海外に友達がたくさんいる20代30代の世代の方達が多くいらっしゃいます。彼らはグローバル市場を最初から考えてやっていくと思いますし、そういう人たちが日本からも出てきているのは凄いことです。

やってみて、学んで、そしてまたやってみる。これをいかにグローバル視点で繰り返せるかどうかが、世界で戦える経営者になれるかの分岐点だと思います。

 

 

 

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DIMENSION 編集長

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「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。

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