#経営戦略
『mixi』『家族アルバム みてね』 『モンスターストライク』など数多くのサービスを提供する株式会社MIXI。同社取締役ファウンダー 上級執行役員 笠原 健治氏に起業家の素養、事業拡大のポイントなどについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの家弓 昌也が聞いた。(全4話)
発明・誠実・夢中
ーー笠原さんが考える起業家にとって重要な素養は何でしょうか。
MIXIには「発明」「誠実」「夢中」というバリューがあります。
MIXIとしてのバリューではあるのですが、ビジネスマンや起業家においても同じことが言えると思っています。
まず「発明」に関して言うと、起業家としては最初の事業のタネを見つけ出す必要がありますよね。
もちろん組織を作ってから考えていく人もいると思いますが、やりたい事業や成し遂げたいビジョンがあって始めるパターンも多い。
そこを見つけ出すのはすごく苦労が伴うことが多いと思っていて、自分のやりたいことをちゃんと見つけ出すというのは、最初の原点として大事だなと思っています。
そして、その事業のタネをみんなで作っていく時に、ストレートに上手くいくことはほとんどありません。
試行錯誤したり、作ってユーザーに当ててみたけれども仮説と違う、ってこともよくある話だと思っていて、そういう状況にどれだけ「誠実」に向き合っていけるか。
そこの戦況というのをつぶさに見ながら自分本位に捉えず、誠実に客観的に捉えながらやっていく。
あるいは外部環境自体が変わってくることもあると思うんですけど、そういった事態においてもしっかりと誠実に向き合っていくっていうのが大事なポイントかなと思っています。
笠原 健治(かさはらけんじ)/1975年生まれ
1997年に求人情報サイトを開始。1999年6月に法人化し、代表取締役就任。2004年2月、ソーシャル・ネットワーキング サービス「mixi」を開始。2006年2月に社名を「株式会社ミクシィ(現 株式会社MIXI)」に変更し、同年9月に東京証券取引所マザーズ市場に上場。2013年6月、取締役会長就任。2021年6月より、取締役ファウンダーに就任。
最後に「夢中」に関して言うと、どこまで没頭してやり切れるか、自分ごととして、あるいはチームのメンバー皆が自分ごととして、もともと成し遂げたかったビジョンに対して夢中で最後まで責任を持って乗り切れるか。
あるいは楽しくやるというのも大事なポイントだと考えています。
しんどいだけだとなかなか長続きしないでしょうし、あるいはユーザーの方にも開発者が楽しみながら作っていったサービスの方が伝わるんじゃないかと思っています。
なので、自分達もワクワクしながら作っていければいいと思ってやっていますね。
野心的な目標=大義を持つ
ーー笠原さんの人生の中で、どのようなご経験からそういった想いに至ったのでしょうか。
これまでいくつか事業を作ってきた中で、やっぱり毎回思うんですよね。
皆と話しながら「新たにこの領域のこういった事業がいけるんじゃないか」という事業のタネが見つかった時っていうのはすごく嬉しいものですし、発明というか、そこに自分たちの将来の希望が見えたっていう瞬間でもあるので、そこは非常に嬉しい瞬間なんですよね。
ただ、やってみると驚くほど上手くいかないことも多くて、そういう時に投げ出さずに誠実に夢中に向き合い続けることができるかどうかはやっぱり大きな分かれ道だなと思っていて、そういうのを毎回繰り返している感じ。
実際、ユーザーの方が手にとって自分たちが思っていた仮説が当たっていたなという瞬間もあります。
ここがこうなればいいなってポイントで喜んでもらったりとか、すごくいいねって言ってくださったりとか、そういう瞬間っていうのは本当に何ものにも代えがたくて、すごく「やってきて良かった」って思える瞬間なので、そのサイクルを何度も繰り返したくてやっている感じだなと思いますね。
ーー起業した頃に、影響を受けた方などはいらっしゃいましたか。
影響を受けた人はたくさんいますが、ネットエイジに同年代の若い人たちが集まっていたことがありまして。松山太河さんの次の話とかは今でも印象に残っていますね。
その当時「自分としてはチャレンジだけど、結構筋は良いだろう」と思って計画したことを「来年こんな感じで行こうと思うんですけど」ってお話をしたら、「何かこれじゃ面白くない、応援する気にはならない」みたいなことを言われたことがありまして笑
「笠原君個人がやるんだったら別にいいんだけど、もっと大義を持って、大きな視点でやっていこうよ」と言われて。「そうか野心的に、もっと大きな目標を目指さなきゃいけないな」とその時思いました。
今にして思えば、全てを受け入れる必要はなかった話だと思うのですが、先輩に言われたことを素直に受け取ったことで、より頑張ることができたなと思います。
>次のページ「トレンド変化をいかにチャンスに変えるか?MIXI創業者 笠原健治の事業立ち上げ法(第2話)」
家弓 昌也
名古屋大学大学院航空宇宙工学修了。三菱重工の総合研究所にて、大型ガスタービンエンジンの研究開発に従事。数億円規模の国家研究プロジェクトを複数リードした後、新機種のタービン翼設計を担当。並行して、社内の新規事業創出ワーキンググループに参加し、事業化に向けた研究の立ち上げを経験。 2022年、DIMENSIONにビジネスプロデューサーとして参画。趣味は、国内/海外旅行、漫画、お笑い、サーフィン。
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