3人共同創業時代から新体制へ。株式会社ユーザベース 稲垣 裕介Co-CEOが考える「チーム経営」とは(第2話)

経済情報プラットフォーム「SPEEDA」、ソーシャル経済メディア「NewsPicks」などを生み「誰もがビジネスを楽しめる世界」を目指す株式会社ユーザベース 。創業から15年を迎えた同社代表取締役 Co-CEO/CTO 稲垣 裕介氏に起業家の素養、事業シナジーなどについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの伊藤 紀行が聞いた。(全4話)

共同創業・共同経営のメリット

ーー共同創業、その後の共同経営というのが御社の大きな特徴だと思います。

創業期に特に重要なのはチーム作りで、これは非常に難しいと思います。

まず大前提となるのが背中を預けられること。

例えばユーザベース創業者3人で、ただでさえタフな状況が連続して起こる中で、この3人の退職リスクを当時考えたことはないんですね。

スタートアップではよく「CTOが辞めてしまうかも」と言われたりしますが、そんなこと言ってる人は多分CTOではないんですよ。経営チームではない。その時点で背中を預けられていないですし、気を遣った経営をしてしまっています。

創業チームというのは、そういった心配をしないものだと思うんです。全員が身銭を切って経営していますし、経営者としてやっている。その覚悟が共有されていることが大切です。

また、ユーザベースのバリューのひとつ「異能は才能」という側面で見ると、ビジネスサイドのCEOとエンジニアリングCTOの2つが融合するのはとても難しいです。ビジネス系の役員にCTOがついていこうとしても経営能力の都合上ついていけない、ということが起きてしまうのです。

そうなるとCEOの発言が強くなってしまうので、すごくビジネス色が強いチームが育っていきます。結果エンジニアが受けに回り、ビジネスサイドとエンジニアサイドがフラットな状態を作るのが難しくなります。

創業当時「異能は才能」という言葉はなかったのですが、それが後に作られたのは、ビジネスとテクノロジーサイドが対等に議論しあうことがよりプロダクトの未来を開くと感じられたから。

もちろんそこに至るまでの課題は多くありましたが、創業期に対等なコミュニケーションの中でやりきったということが、その後コンテンツやコンサルティングという新要素が入ってきても融合できる企業文化の地肉になっています。

これから起業しようとしている人は、本当に背中を預けることができる仲間を探すことが非常に大きな要素だと思います。

コミュニケーションコストに投資する覚悟を

ーー創業者3人の共同経営から経営体制変更もご経験されています。

日本から海外、BtoBからBtoCへと弊社が事業を多角展開していく中で、多様な変化に対応する体制を考える際に常に選択肢が3つあるというのは非常に強力でした。

最初、新野 良介(共同創業者・元代表取締役)が体調不良で長期のお休みになった時も、私か梅田 優祐(共同創業者・元代表取締役)が代わることができたのは大きかった。

また、梅田が抜けることも事前から見据えていたわけではないですが、次の経営者の可能性として佐久間 衡(現代表取締役Co-CEO)に大きな役割を担ってもらっていたので、彼が自発的に手を挙げてくれ、自然に一緒に活動できるようになりました。

一人のトップではなく、次のメンバーたちも含めて共同経営チームを持つことは、変化対応力というメリットを持ちます。

おそらく払っている対価はコミュニケーションコストです。

一人で決める方が早いですし楽です。複数人でやると、時に自分の意見が通らないことは当然あるんですね。しかし、それで異なる視点や可能性が議論され、良い方向に進められればいいと思います。

新しい経営チームを作る際には、コミュニケーションの量が増えることを覚悟しなければなりません。しかし、1年間くらいやりきると、ほぼ同じスピードで話せるようになります。

共同経営は簡単ではありません。コミュニケーションコストにいかに投資できるかは、経営チームを運営する上のテーマで、移行期間や成長期間を適切に設けることが非常に重要です。

 

ーー経営チームを作るための時間軸は会社のフェーズに応じて変化しましたでしょうか。

期間はその会社の成功体験に紐づくと思います。

私たちの感覚では経営者として価値を出すまでに最短1年、基本的には2年ほどかかります。

経営の意思決定の感覚を合わせていくのが1年ほど、その人が単独で成果を出すまでにはさらに1年が必要です。これが2年になるわけです。

スピードは重要ですが、私自身は他の経営メンバーよりも慎重かもしれません。なぜなら、抜擢責任(選任責任)があると思っているからです。だからこそ、2年間はしっかりと見ることが大切だと思っています。

 

ーー意見が割れた時、どのように進めればいいのでしょうか?

意思決定が割れた時どうするかとよく尋ねられますが、これまでの15年間で、最終的に意見が割れてブレイクしたことは梅田・新野・佐久間含め一度もありません。

どちらの意見を最終的に優先するか、そういう場面は確かにあります。それは責任を持っている方がやるべきだと思っていて、「私の領域だから」という場合は尊重されていると思いますし、他の人の領域の場合は尊重しています。

でも、会社のミッションを決定することといった中心的な方針だけは譲れません。それは経営そのものだからです。

なので会社の核となる決定事項には、コミュニケーションコストを厭わず徹底的に話し合うこと。それ以外は、互いの強みを尊重し合うこと。

これが経営をチームで進めていく上で大切なことのように思います。

 

 

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著者 伊藤紀行

著者 伊藤紀行

DIMENSION Business Producer:早稲田大学政治経済学部卒業、グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA, 英語)修了。 株式会社ドリームインキュベータからDIMENSIONファンドMBOに参画、国内のスタートアップへの投資・分析、上場に向けた経営支援等に従事。主な出資支援先はカバー、スローガン、BABY JOB、バイオフィリア、RiceWine、SISI、400F、グローバ、Brandit、他 全十数社。 ビジネススクールにて、「ベンチャー戦略プラン二ング」「ビジネス・アナリティクス」等も担当。 著書に、「スタートアップ―起業の実践論 ~ベンチャーキャピタリストが紐解く 成功の原則」

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