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“70社断られたことを力に”資金調達額8億円成し遂げた 食べチョクの挑戦 ビビッドガーデン 秋元里奈社長(第4話)

「生産者のこだわりが正当に評価される世界へ」をビジョンに掲げ、一次産業の生産者が、個人に直接商品を販売できる産直通販サイト「食べチョク」を提供している株式会社ビビッドガーデン。累計資金調達額は8億円を超え、テレビ東京「日経スペシャル カンブリア宮殿」にも取り上げられた。同社の代表取締役社長の秋元里奈氏に、起業家の素養や事業成長の秘訣などについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの伊藤紀行が聞いた(全4話)

“70社に出資を断られた” ことを力に変えた

ーー現在は累計資金調達額が8億円を超えた御社ですが、どのようなことを意識されてきましたか?

私たちの資金調達は、プロダクト開発前に融資、次にシードラウンドで個人投資家から4000万円、そしてVCから2億円、6億円という形で実施してきています。

シードラウンドはサービスリリース直後のタイミングで、まだこのサービスがうまくいくか判断できなかったこと、そして一次産業領域の事業立ち上げは時間がかかる可能性があったため、VCから調達はしないと決め、長い目線で見てくれる個人の方に出資いただきました。

しかしその時期に「急がないと」という気持ちが強くなる出来事がありました。創業初期に協力してくださった生産者さんが廃業してしまったんです。そこで「いまの時間軸では、貢献できるはずの人たちが辞めてしまう」ということに気づきました。

その出来事があったタイミングから、スピード感を持って事業を大きく伸ばす方向に舵を切りました。ライフタイムバリュー(LTV)や顧客獲得単価(CPA)といったエコノミクスもわかりやすく見えてきていたので「アクセルを踏んだら伸びる」という数字的な根拠をもとに、VCから資金調達をして今に至ります。

 

ーー最初のVCラウンドでは70社以上に断られたほど、苦労もされたとお聞きしました。

資金調達のプロセスはお金を集めるだけでなく、事業成長にも寄与すると思っています。

おっしゃる通り、2億円調達のときにはたくさん断られて長い時間がかかったのですが、おかげで調達を始めたときと決まったときでは事業計画の精度やKPI設定、戦略もガラッと変わっていました。

これは投資家から何度断られても、とにかく事業成長にプラスになる情報をもらって半歩でも前に進もうとし続けたからだと思っています。

 

ーー資金調達でも「柔軟性」(第1話リンク)を発揮することが重要ということですね。

ここで1つ注意すべきと思っているのは、アドバイスを全て鵜呑みにしないことです。

特に成功した人ほど、「自分がやってきたことが一番良い」と話す傾向があります。最初からVCから調達して成功した人は「VCから早く調達したほうがいい」と言うし、外部から資金調達しないで成功した人は「自己資金でやり切るべき」と言う。

したがって、話の真意や本質を見極め、自分がやりたいことと照らし合わせて聞き入れるべきかを判断する。「柔軟性」は持ちながらも、決してブレてはいけない軸は大切にすべきです。

例えば私の場合、「一次産業に貢献できるか」という軸があります。いかに派手に話題にされたり資金調達額でちやほやされようとも、長期的に業界に貢献できなければ満足できないのです。

なので創業期の頃に「スタートアップの割にゆっくりやっているね」とよく周りから言われましたが、決して動じないし焦りませんでした。周りの会社で資金調達額が大きいといった話題があっても気にしません。必ずしも成長スピードが速いから良いわけではないし、資金調達も同様です。

これはすべて、長く続けて一次産業に貢献するために、自分たちの目指す世界観に対してベストだと思う選択をしているからです。

いろんな人にアドバイスをもらうのは大切ですが、“隣の芝”は見ない。自分たちがやりたいことに最短距離の道が何なのか、本質を見極めることがすごく大事だと思います。

 

生産者のこだわりが正当に評価される世界へ

ーー今後のビジョンについてお聞かせください。

私たちが目指しているのは「生産者のこだわりが正当に評価される世界」です。そのビジョンに対する進捗はまだまだ1%くらいです。

いま「食べチョク」の認知が少しずつ広がってきていますが、生産者さんは元々ネット販売のポテンシャルのある方が使っていただけている段階で、例えば高齢の方やこれまであまりネットを使ってないような方はまだまだ参画しづらい状況です。特に一次産業従事者は平均年齢が67歳と高齢の方が多いので、そういう方々が参画できる状況にしなければいけません。

そのための取り組みとして、最近は「ご近所出品」という、リアルを絡めた施策もはじめています。生産者同士がご近所で繋がって共同出品をする。ネットリテラシーのある方と高齢な方が協力するという、地域にあるリアルなネットワークを活かした取り組みです。

ほかにも、販路のサポートだけでなく、生産者が抱える他の課題、例えば人材調達や資材調達などの解決にも今後はアプローチしていきたいと考えています。

「生産者のこだわりが正当に評価される世界」の実現に向けて、ようやくスタートラインに立てたのかなと思っているので、これまで積み上げてきた信頼を裏切らないことを前提としながら、より価値のある事業をつくっていきたいと思っています。

 

ーーでは最後に読者である若手起業家、起業家予備軍のみなさんにメッセージをお願いいたします。

私たちは生産者さんたちから直接食材やお花などを取り寄せられる「食べチョク」というサービスを運営しています。

サービスをはじめたときは月に売上が2万円のときもあった中で、現在では年間の流通規模が数十億円まで成長することができました。

起業していると辛いこともたくさんあると思うのですが、私は「努力する人は夢中な人に勝てない」という言葉をいつも胸においています。自分がいま目の前のことに夢中でいれるように意識しています。

夢中でいれると息をはくように努力できるので、みなさんも目の前のことに夢中になって、一緒に頑張っていきましょう。

 

※インタビュー記事は2021年7月22日現在の内容です

 

>秋元 里奈 (著) 365日 #Tシャツ起業家 「食べチョク」で食を豊かにする農家の娘はこちら

 

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著者 伊藤紀行

著者 伊藤紀行

DIMENSION Business Broducer:早稲田大学政治経済学部卒業、グロービス経営大学院経営学修士課程(MBA, 英語)修了。楽天に勤務後、EdTechベンチャーの東京オフィス立ち上げに参画。法人向け事業の急成長に貢献。その後グロービスにて英語MBAプログラム Japan Accountのリーダーとして、個人向けマーケティングと事業開発を担当。現在DIでは国内のスタートアップへの投資・上場支援を行い、志高い起業家への経営支援を通じて日本経済の活性化に取り組む。週末を中心にビジネススクールで思考領域の講師も務める。

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