AI通訳機「ポケトーク」松田憲幸CEOが語る「起業家に重要な3素養」とは(第1話)

「言葉の壁をなくす」をミッションに掲げ、AI通訳機『POCKETALK』シリーズを販売するポケトーク株式会社。22年11月にはDIMENSIONを含め16億円の資金調達も実施し、世界的に躍進を続けている。同社代表取締役社長 兼 CEO松田憲幸(まつだのりゆき)氏に起業家の素養、事業成長の心得などについて聞いた。(全4話)

挑戦・勇気・夢を語ること

ーー松田さんが考える「起業家にとって重要な素養」を3つ挙げるとするとなんでしょうか?

定番ですが、まずは「挑戦」と「勇気」。

今までやっていないことにチャレンジしていくことこそが起業家・経営者がやっていくべきことだと思うので、この2つは大事だと思います。

もう1つは「夢を語ること」。

経営者って夢がないといけないと思うんですよね。

これはやっぱり社員の立場になった時に、ただ単に仕事をしていても全然面白くないじゃないですか。

だから例えどんな絶望的な時であっても、”出来るかどうか分からないけど俺達はこっちに行くんだよ”という明るい未来を指し示して「夢を語る」ことは経営者にとって必須条件だと思います。

 

松田憲幸(まつだのりゆき)/1965年生まれ
日本アイ・ビー・エム株式会社に入社し、システムコンサルタントを経た後、ソースネクスト株式会社を設立。2008年には東証一部への上場を果たす。2022年にポケトーク株式会社 代表取締役社長 兼 CEOに就任。現在に至る

 

ーーそれらの素養が大切だと思うに至った原体験などがあればお聞かせください。

これはなぜ私が起業したのかに立ち戻るのですが、ベースとして「社員として自分が企業で働いていた時に物足りないと感じていたところを変えたい」という思いがあります。

つまり社員にとってどういう会社か、という視点が私にとって非常に重要で、「挑戦」しない会社、「夢を語る」ことのできないような経営者は面白くない。それに、経営者の「勇気」がなくて「今週、給与を払えないかも…」といつもビビっていたら嫌ですよね(笑)。

社員の立場から見た時に嫌だったことが、反面教師となり原体験になっているように思います。

 

危機時にプライドを捨てられるか?

ーーソースネクスト社の創業から数えると26年もの間、数多くの危機を乗り越えてこられたかと思います。危機を乗り越える上で重要だったと思われることはありますか。

どんな危機でも必ず策はあるし、経営者が諦めるか否かに尽きる。そのために、私は経営者こそ「プライドを捨てる」ことが重要だと思っています。

私この話をするとき、いつもスティーブ・ジョブズさんの例を挙げています。

彼がデジタル家電製品やソフトウェアの開発・販売を行うAppleに復活してきた時に一番に何をやったかというと、最もAppleが、もしくはAppleファンが”大嫌い”なビル・ゲイツ(Microsoft共同創業者)さんと組むことだったんですよね。ビル・ゲイツさんにお願いして1.5億ドルもの出資を受けたのです。

これは普通できることではありません。実際、出資の情報が公開された時のブーイングは凄かったそうです。

でもその提携後、Appleの株価は大きく上がり、今では300兆円規模の企業です。これはスティーブ・ジョブズさんが真っ先に「プライドを捨てる」ことができたからです。

社長になるとプライドが高くなってしまって「そこまでしたくないわ、俺」という人、結構多いです。危機に直面したときでも「あいつだけには頼みたくない」とか。

でも、スティーブ・ジョブズさんがビル・ゲイツさんに出資をお願いしに行った事と比べたら、たぶん皆さんの持っているプライドって小さいですよね(笑)。

経営者は会社にとって重要だと思ったら、自分のプライドなんかすぐに捨てて、なんでもやる。それが長年経営を続ける上で大切な心構えのように思います。

 

 

 

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DIMENSION 編集長

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「人・事業・組織に向き合い、まっすぐな志が報われる社会を創る」をミッションに、真摯に経営に向き合う起業家に創業期から出資し、事業拡大・上場を支援する国内ベンチャーキャピタル。

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