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「働くをもっと楽しく、創造的に」をミッションに掲げ、業務の効率化と会社の成長を目的としたビジネスコミュニケーションツール『Chatwork』を提供するChatwork株式会社。同社代表取締役CEO 山本 正喜氏に起業家の素養、PMFまでの道のりなどについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの下平将人が聞いた。(全4話)
ーー山本さんはCTOをやられて途中からお兄さんから引きつぐ形でCEOになられましたが、スタートアップのCEOとして重要な素養を挙げるとしたら何でしょうか。
重要なのは、MVV(Mission Vision Value)にピュアな意思決定をしていくことでしょうか。CEOってMVVとかカルチャーとか、会社の根幹に触れる唯一の人だと思うんです。
私がCTOの頃は実質日本支社長として『Chatwork』の事業長をやっていたので、業務としてはCEOっぽいことはやっていたんですけど、MVVとか会社のカルチャーには触れていませんでした。
横にはCOOがいてCFOがいて、それぞれの管掌領域がある。一応全社を見ているけれど、自分とレポートラインが違う所で問題が起きても直接対処しに行けなかったりする。
それがCEOになると会社の根幹だけでなくレポートラインの頂点になるので、全ての事柄に対して強烈な権力を持っています。だからこそ、自分の理想が実現し易い反面、自分の心の歪みもそのまま会社に反映されていってしまいます。
山本 正喜/1980年生まれ
電気通信大学情報工学科卒業。大学在学中に兄と共に、EC studio(現Chatwork株式会社)を2000年に創業。以来、CTOとして多数のサービス開発に携わり、Chatworkを開発。2011年3月にクラウド型ビジネスチャット「Chatwork」の提供を開始。2018年6月、代表取締役CEOに就任。現在に至る。
例えば好みだったり自分のバイアスだったりがそのまま組織に反映されてしまうのが、すごく怖いなというのを感じました。
なのでCEOとして、「MVVにピュアな意思決定をする」事にすごく気をつけています。
自分の中の主観とか感情による意思決定をしない。
MVVがあって、ブレイクダウンされた戦略があって、そこに対して「こういうロジックだからこちらを選ぶ」とちゃんと説明できる意思決定をしたいなと思っています。
ーーMVVの中で、特に大切にされていることがあればお聞かせください。
弊社にはバリューの中に「誠実さ」という言葉があります。
会社に対して求めているものって、自分自身や社員、ユーザー、株主、地域社会と、それぞれやっぱり違いますよね。
どちらかを取るとどちらかが減ってしまう、という状況の中で良いバランスで意思決定をして各ステークホルダーに対して説明責任を持つのがCEOの役割だと思っています。常にそこに「誠実」なスタンスで臨むことを意識しています。
特に会社が大きくなり、上場すると、株主や社会に対する責務が大きくなります。ミッションやステークホルダーに対して誠実さを保ち続けることが、経営者として凄く大事になってくると感じています。
ーーエンジニアのバックグラウンドを持つCEOというのは珍しいかと思います。CTOからCEOに変化した中で戸惑いを感じたことなどはございましたか。
私は創業からエンジニアをやっていて、組織ができてからはCTOという立場で12年間やってきて、そこから2018年6月にCEOになりました。
ただCEOになる前に新規事業(Chatwork)の事業長として実質日本支社長も兼務する立場だったので、CEOになってから業務や立場はあまり変わりませんでした。
でもすごく大きな違いだなと思ったのが、ビジョンを出したりミッションを示すのがCEOの役割だということ。それ以外のCxOっていうのは、CEOのビジョンをどう現実化していくかが役割なんですね。
ビジョンを示す側になったことで「ビジョンを示すってどうやればいいの?」と、スタンスの違いに一番戸惑ったことを覚えています。
そんな中、私がChatworkのCEOになって一番最初にやった仕事はMVVのアップデートでした。
プロダクト屋の発想かもしれませんが、やっぱり良いプロダクトを作るには良いコンセプトが必要なんですよね。コンセプトに紐づいているプロダクトが美しいと思っているので、会社もそういう作り方をしたいと思いました。
そして会社のコンセプトとは何かと考えた時に、それが経営理念のような概念であって、そこから色々調べていくとミッション・ビジョン・バリューという言葉で整理されているんだなというのが分かりました。
今までも経営理念はありましたが、学生創業した時に作ったミッションだったので、抽象度がかなり高かった。
そこをChatworkという会社で働き方を変えていく、こういう世界を作りたいんだ、という具体的な言葉を作りたいと思ったんです。
サウナの中で考えてる中で出てきた言葉が、今のコーポレートミッションの「働くをもっと楽しく、創造的に」っていう言葉でした。
自分自身、学生起業をして、インターネットに夢中になって働いて人生がすごく輝いたっていう原体験があったので、人生大半を過ごす「働く」という時間を「お金のためだけじゃなくて楽しく創造的なものにしたい、そのために働いている」という自分自身が働く理由から出てきた言葉でした。
プロダクトを通して、事業を通して、一人でもそういう働き方をする人を広げていくと捉えた時に、すごく腹落ちしました。要は自分の上司がMVV、という考え方になったので意思決定がすごくやりやすくなったんです。
ーーレポートラインの頂点であるCEOの上司はMVVであるということですね。
はじめはものづくりから離れる怖さがあったので、CEO兼CTOという兼務職にしていたんです。自分自身が向いてないと思ったら別の人にCEOなってもらって自分はCTOに戻ろうと。
でも「会社っていうプロダクトを作っていく」って捉えられるようになったことで、それも「ものづくり」で自分の得意領域だと気づきました。
我々のビジョンに「すべての人に、一歩先の働き方を」とあるんですけど、一歩先っていうのは二歩先三歩先とどんどん先に進むのを目指すことではなくて、”歩みを止めない一歩”というのがすごく大事だっていう価値観なんです。
会社も同じで、少しずつアップデートしていき、失敗しても必ず再発防止をしながら仕組みを積み上げていくことによって複利で勝っていく。
それは割と私は得意なタイプで、エンジニアなのでアーキテクチャを組んでいくような感じで組織を見ています。事業をやってるって言うよりは仕組みを作ってる。
CTO出身のCEOも、ものづくりを「会社というプロダクト」というレイヤーで考えれば自分のバリューも発揮できるし、面白いぞと思うようになりましたね。
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著者 下平 将人
1986年生まれ。長野県松本市出身。弁護士として法律事務所で勤務した後、LINEにて社内弁護士や新規事業開発担当を経て、DIに参画。国内VCファンド「DIMENSION」を立ち上げる。投資先複数社の社外取締役。一橋大学法学部、慶応義塾大学法科大学院卒業、グロービス経営大学院卒業経営学修士。NewsPicksプロピッカー。動画プラットフォームUdemyにて、スタートアップ経営戦略の教科書(全5回)を配信中。経済産業省 U30関西起業家コミュニティ メンター、超起業学校スタートアッププログラム メンター等。趣味はバスケ。
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