先達に学ぶ -第13回 セコム創業者・飯田さんからの学び-

■「起業ノウハウ」について

皆様、こんにちは。

国内ベンチャー投資ファンド・DIMENSION(ディメンション)の代表取締役社長の宮宗(みやそう)と申します。私共の起業家向けメディアDIMENSION NOTE(ディメンション ノート)に目を通して頂き、ありがとうございます。

私自身2002年からスタートアップへの出資・支援を行うようになり、累計13社の上場/Exitに携わってきました。またこれまで様々な起業家や経営者と仕事をしてきましたが、経営はある事を行えば必ず成果が出るという単純なものではありません。一方、自分よりステージが上で上手く経営推進・事業拡大されている企業や起業家・経営者の方から「学び」、その内容の「具現化」を継続していれば、成果出しの確度は高められると、多くの起業家を見てきた専門家として確信しています。

2021年4月から、私共DIMENSIONメンバーが定期配信を始めた「起業ノウハウ」では、
・ 起業
・増資・融資
・ 組織作り
・ 経営推進・事業拡大
・ 上場
を中心に、取り上げていきます。

 

2023年1月、セコムの創業者・飯田 亮さんが89歳でお亡くなりになった旨、報道がありました。

飯田さんは、1962年に29歳で起業。1代で3兆円の警備市場を作り上げた戦後の経済史に名前を残されている創業経営者のお一人。
偶然にも前職の社外取締役を創業期から2006年まで務められていた経緯から、私が前職に転職した2002年から数回、直接やり取りできる幸運に恵まれました。

  •  セコムは、2002年時点で創業40年。
    数多くの日本初・世界初の取り組みをtoBとtoCのBizで導入し、当時で時価総額1兆円、売上5,000億円、経常利益利率10%弱。増収増益を連発されている中、メディカルや測量など警備以外の領域にも参入し、事業を多角化されていました。

【出典:セコム株式会社 IR資料】

今回は、飯田さんから学んだ「リーダーとして大切な事」をご紹介します。

 

■突出したフラットさ と フットワークの軽さ

2002年、私が前職に転職して1ヵ月。ある大企業との仕事で市場調査をしていたのですが、調査資料などから外観はわかっても具体動向や詳細がわからない状況に悩んでいました。
ふとセコムのしかるべき方と質疑をすれば市場の理解も進むし、セコムにとってもプラスになると思い前職の社外取締役であった飯田さんのことを思いました。飯田さんに背景事情を説明すれば力を貸してもらえるのでは?と浅はかながら考え、社内の先輩に相談した所、「担当と飯田さんでは距離があるので、相談は控えるように。」と諭されました。

一方、お客様の役に立ちたいとの一心で個別に総務の方に飯田さんの連絡先をお聞きし、手紙を書いて協力をお願いした所、数日もたたずに私の固定電話宛に「飯田です。」との電話が。

最初はどの飯田さんかわからず「??」となっていたのですが、まさかのセコム・飯田さんからの直接の電話であることに気づき、慌てふためきやり取りした結果、

  •  “手紙受け取り、主旨を理解しました。〇〇さんに話をしているので、番号□□に
    電話するように。”
  • “宮宗さんやお客様にとって、良い機会になるといいですね。”
    と落ち着いた声で、お言葉を頂きました。

 

その後、教えて頂いた番号に連絡しスムーズに意思決定者とやり取りが進んだ結果、お客様にとって価値あるプロジェクトの成果物を提供することができました。

当時の私は27歳で、飯田さんは69歳。まさか立志伝中の方から直接連絡を頂けるとは思っていなかったので、20年経った今でも覚えているぐらい大変驚かされました。
そのやり取りをキッカケに飯田さんのファンになったのはもちろん、気さくにしかもスピーディーに直接やり取りする効能をしみじみと感じる機会となりました。

 

■起業を成功させるには、執念と思いこみが不可欠

飯田さんには社内メンバー向けに、「たとえ話」で起業&経営の本質も紹介していただきました。以下はわかりやすい「たとえ話」で、今もよく出資先の起業家にその内容を伝えています。

飯田さんがおっしゃった内容は以下の通り。

  • “みんなミソを掴もうと思って起業し、ミソが入っていると思っている樽に手を突っ込む。”
  • “何度か樽に手をつっこんでいるうちに、必ずミソではない異物を掴んでしまう。”
  • “その異物と共に樽から手を引き抜き上に掲げると、凄く嫌なニオイもする。”
  • “絶対ミソではないとわかるが、リーダーならこれはミソだと言い続けなさい。”
  • “手を掲げながら、ミソ、ミソ、ミソと言い続け、その異物を何とかしてミソに変えるのが真のリーダーです。”
 
起業して成功するには「執念と思い込みが不可欠」ということを、飯田さんはご自身の経験と共に伝えたかったのだと思っています。

他にも飯田さんは、100名以上集まった前職の株主総会で先輩起業家として納得感のあるお話を落ち着いた振る舞いで共有されるなど、後輩新興企業や若手を心底応援する気持ちにあふれた魅力的で稀有な大・起業家だったとしみじみ感じています。

 

実際に飯田さんと直接やり取りさせて頂いた一人として、私も飯田さんのように後輩起業家や世の中にとって意義ある事業の創出に、少しでも貢献したいと考えています。

 

起業ノウハウ「先達に学ぶ」第1回第2回第3回第4回第5回第6回第7回第8回第9回第10回第11回第12回もご参考にしてみてください。

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