先達に学ぶ -第17回 心を動かす出会いと言葉 vol.2-

「起業ノウハウ」について

皆様、こんにちは。

国内ベンチャー投資ファンド・DIMENSION(ディメンション)の代表取締役社長の宮宗(みやそう)と申します。私共の起業家向けメディアDIMENSION NOTE(ディメンション ノート)に目を通して頂き、ありがとうございます。

私自身2002年からスタートアップへの出資・支援を行うようになり、累計19社の上場/Exitに携わってきました。またこれまで様々な起業家や経営者と仕事をしてきましたが、経営はある事を行えば必ず成果が出るという単純なものではありません。一方、自分よりステージが上で上手く経営推進・事業拡大されている企業や起業家・経営者の方から「学び」、その内容の「具現化」を継続していれば、成果出しの確度は高められると多くの起業家を見てきた専門家として確信しています。

2021年4月から、私共DIMENSIONメンバーが定期配信を始めた「起業ノウハウ」では、
・ 起業
・ 増資・融資
・ 組織作り
・ 経営推進・事業拡大
・ 上場
を中心に、取り上げていきます。

今回は、心を動かす出会いと言葉vol.2。

前回はICCでのベースフード橋本社長の質疑のエピソードを「心を動かす出会いと言葉」として伝えさせていただきました。

実際にそうした出会いや言葉がキッカケになり、行動を大きく変えて自身のステージを高めた方や、非連続な成果出しにつなげた方も多いのではないかと思います。

私もその一人です。

最近、何がキッカケで今の仕事を進められるようになったのか聞かれることが増えたのですが、振り返ると前職の仕事を通じての人との「出会いと言葉」がターンニングポイントだったと感じています。

今回は私が変わるキッカケとなったエピソードをご紹介することで、「出会いと言葉」の大切さを再度お伝えできればと思っています。

 

最後まで、君にみてほしい

前職に転職してから4年目の2006年。プロジェクト・マネジャーに昇進し、大企業向けコンサルティングとスタートアップ出資の2つを同時に推進する中、あるスタートアップに1億円以上出資を行いました。ある大企業とともに計・数億円出資したのですが、当時としてはかなり大きな出資額でした。

一方、今振り返ると当時の市況は、最悪といえるほど悪い状況に突入したところでした。2006年1月に発生したライブドアショックの影響で、上場社数も減速傾向がみられはじめ、出資して1年経たずに当該スタートアップを担当していた当時の4大監査法人の1つ、中央青山監査法人が金融庁から監査業務停止処分を命じられます。(翌年2007年7月末、中央青山監査法人は解散。)

当該スタートアップは、監査法人処分の影響から上場が難しくなり、翌年、急速な市況の悪化から資金繰りに奔走せざるを得ない状況に追い込まれます。

私も担当として、資金調達が実現できるよう善処していたのですが、あまりの先行き不透明さに当該社・社長との1:1の打ち合わせの場で「担当を私から(前職の)創業者や経営陣に代えて、彼らの力も直接借りながらこの難局を乗り越えるのはいかがでしょうか?」と申し出たところ、じっと私の目を見つめ、ゆっくり以下のように話をされました。

・ “ありがたい申し出だが、それは断る。”
・ “私の担当は君だ。”
・ “最後まで、君にみてほしい。”

この言葉には感銘を受けました。
会社がひっくり返り、解散となってもおかしくない資金繰り状況だったのですが、慌てる様子は一つも見せず上記言葉を投げかけてくれた当該社の社長の胆力に驚かされるとともに、そこまでおっしゃっていただけるなら全力で私も資金繰りをサポートしようと決意し、その後できうる限り様々なアクションを起こしました。

残念ながら私起点のアクションはファイナンス面で実を結ばなかったのですが、2008年、スポンサー企業がみつかりその企業に株式を持ってもらう形で資金をつなぐことに成功されます。当時、本当にほっとした出来事になりました。

 

15年経過した今

あの言葉を頂いてから、起業家やスタートアップ経営に向き合う意識が明確に変わったのは間違いありません。またあの言葉を投げかけて頂かなかったら、今のように起業家やスタートアップへの出資支援に注力していなかったようにも思っています。

また当時の難局を乗り越えたスタートアップは、その後事業を大きく拡大し、売上・数百億円の業界大手企業に成長されました。

当該社の社長は、今も現役。
毎年お会いさせていただき、定期的に経営に関するインプットや質疑ができる貴重な機会を提供いただいています。

また当時の資金繰りの最中、私の方で打ち合わせをアレンジさせていただいた方と当該社の社長とは現在ある分野で連携されています。全力で取り組んだことが、別の形でも結実するのは本当に嬉しいことです。また真摯かつ全力で取り組んだことは、将来何らかの形でつながることも多いとも感じています。

当時30代前半だった私も、今は40代。
社内外で当時の私のような年代の方々と接する機会が増えているのですが、お客様であった創業社長から投げかけて頂いた「私の担当は君だ。最後まで、君にみてほしい。」という言葉で私の取り組みが大きく変わったように、20代・30代の次を担う世代の方々にとってステージが大きく変わる良い「出会いと言葉」を提供できる自分でありたいと考えています。

 

※前回の起業ノウハウ、ICCでのベースフード橋本社長と、第二電電(現KDDI)・イー・アクセス(現ワイモバイル)創業者・千本 倖生さんとの経営質疑のエピソード「心を動かす出会いと言葉」も適宜参照いただければと思います。

また、起業ノウハウ「先達に学ぶ」第1回第2回第3回第4回第5回第6回第7回第8回
第9回第10回第11回第12回第13回第14回第15回第16回もご参考にしてみてください。

 

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